rode-44




『いい風だ…』

ここは、ガレーラ本社の海賊ルーム。

現在滞在中の仮設の建物の屋根の上にライは海を眺めながら座っていた。

「あっ!!イケメン兄ちゃん!!」

突如響いた声に視線を落とす。

『お!チムニー、ココロさん!あと、ゴンベにヨコヅナも!!サンジ達なら中いるぜ?』

そう笑顔で返すと、手を振りながら建物内に入っていく2人と2匹を手を振りながら見送ると、また海を見据える。
その顔は苦悶に歪んでいた。

『もうすぐ……全てが始まるってのに……少しは強くなれてるんだろうか…親父さん…元気かな…』

「ライー!まだ、そこにいたのかぁ!?」

声に視線を下ろすとチョッパーとロビンがライを見上げて笑っていた。

『おかえり。チョッパー、ロビン。ちょうど降りようかと思ってたんだ…』

そう笑いかけるとライは屋根から飛び降りた。
そうして、2人と連れ添いながら室内へと足を進めた。

「帰ったぞー!フランキー一家のソドムとゴモラの所行って、買い物もしてきたぞ!ロビンからも目離さなかったぞ!」

そう言ってサンジに敬礼をしながら報告するチョッパーを微笑みながら見つめる。

「もう、どこにもいかないったら…」

ロビンがにこりと笑いながら告げる。

「ロビーン!!全部返ってきたのよ!!お金もみかんの木も荷物もっ!!」

声に振り替えるとナミが笑いながらみかんの木に抱きついている。

『(あぁ…ここも温かい…)』

目を細めて全員のやりとりを見つめる。

と、そこへフランキー達が乗り込んできた。

そうして、フランキーが船を作るから乗っていってくれ!と言われ、船の問題も解消。

全員が和やかな雰囲気で談笑していると……
それは突然訪れた。

ドガァーーン!!

突然轟音と共に崩れた壁に全員が驚き視線を向ける。

そこにいたのは、犬の被り物を被った海兵。
後ろには結構な数の海兵も控えている。

『(あー…忘れてた…ルフィのじいちゃん…来るんだったか…)』

ボリボリと頭を掻きながら一部始終を見守るべくライは腕を組みながら壁に背を預けた。

「なっ!?海兵だと!?」

サンジ達が怯んだ瞬間、その海兵はなにかを呟くとルフィへと一瞬で距離を詰めた。
そして、思いきりルフィを殴り付け、その勢いのままに吹っ飛んだルフィは壁へと激突。

「いっ!?いてぇー!!」

「バカ野郎!!打撃がゴムに効くわけねぇだろう!」

「愛ある拳は防ぐ術なしっ!!ルフィ!!随分と暴れとるようじゃのう!!」

その声にはっとしたルフィが頭を押さえながら顔をあげると

「げぇっ!!じいちゃんっ!?」

「「「ルフィのじいちゃん!?」」」

ルフィの発言に驚く面々。
それに反応するようにルフィが声を荒げた。

「おめぇら、ぜってーー手出すんじゃねぇぞ!?俺はじいちゃんに何度も殺されかけた!!」

「殺されかけたとはなんじゃ!!わしがお前を千尋の谷に突き落としたのも、夜のジャングルに放り投げたのも、風船にくくりつけて空に飛ばしたのも!!皆お前を強い海兵に育てるためにしたことじゃ!!それなのにお前は海賊なんぞになりおって!!」

「うるせぇっ!俺はずっと海賊になりてぇって言ってたじゃねぇか!!」

ルフィの反論にガープがルフィの胸ぐらを掴み拳を振り上げる。

「じいちゃんに向かって、うるせぇとはなんじゃ!!」

それに怯えるルフィを見た全員が唖然とする。

「ダメだ…完璧に逆らう気力も持ってかれてる…」

サンジの言葉を聞きながらそのやりとりを見ていると突如眠り出した2人に驚く。
と、はっと起きたガープがまたルフィを殴る始末。

「全く、赤髪なんぞに毒されおって!」

「なっ!?シャンクスの事悪く言うんじゃねぇ!!俺の命の恩人だぞ!?」

「そうは言うが。ルフィ、お前は赤髪がどれだけの奴かわかっておるのか!?」

「…!?じいちゃん、シャンクスの事何か知ってるのか!?」

「今や星の数程いる海賊達の中で…かの白ひげと並ぶ4人の大海賊の内の1人じゃ。偉大なる航路の後半の海でまるで皇帝のように君臨する人は奴等を四皇と呼ぶ」

「そっか…シャンクスは元気なんだな…」

そう言って麦わら帽子を眺めていたが突如思い出したように声をあげた。

「ん?そういやぁ…エースの乗ってる船が白ひげって言ってたよな?エースはそんなすげぇとこにいたんだなっ!!」

笑顔で告げたルフィにガープがはぁとため息を溢す。

『ぷっ、アハハハ…』

突如上がった笑い声に全員が視線を向けると腹を抱えて大爆笑しているライの姿。

一頻り笑うと、目尻にたまった涙を拭って話し出した。

『わりぃっ…けど、ルフィの世間知らず具合が面白すぎてよ…アッハハハハ』

そう言ってもう一度笑い出した。
と、ガープがライを見て話し出す。

「お前さんか。青雉がやたら気にかけてたのはっ!!」

『そりゃ、知りたくねえ話だな…』

「んな事よりよっ!じいちゃんは知ってるのか?エースが姉ちゃんって言ってた奴!!」

その言葉にガープが頷くと話し出した。

「直接会った事はないがのう。そこの若造以上に青雉の奴がきにいっとったわ。それに、海賊らしからぬ行動から一般の者達からも愛されておったわい。お前らも知ってるんじゃないか?」

「…?知ってる?」

ロビンが疑問を浮かべて問いかける。

「この海に生きとるなら1度はあの娘の手配書をみとるじゃろ。堕天使と言えばわかるじゃろ?」

「「「「……っ!?」」」」

「エースに聞いて、もしかしてとは思ってたけど…」

「なんだぁ?ナミ知ってんのか?」

ナミの言葉にルフィが問いかける。

「知らないあんたがびっくりよっ!!」

「正式には"異界の堕天使 アマクサ ルカ"。彼女の初頭手配は白ひげに入る前。ルフィ、あなたの恩人の赤髪の船で海軍を退けた事によって150000000ベリーの手配書が出たわ。その後も蔓延る名の売れた海賊や山賊を撃ち取るだけでなく、悪政を強いる海軍を島から退けたことで更に上がったけれど。白ひげに入ってからの彼女は誰もが目を見張るスピードで急速に名をあげたわ。」

「それなら、俺も記事で読んだぜ。華麗な女性が人々を救う…なんって絵にかいたようなストーリーっ!!出来ればいつかお会いしたかったぜ…」

「ふーん。そんなすげぇ奴だったのか…俺も会いたかったな…」

ルフィがぽつり言葉を溢す。
その話を聞いていたライはと言うと。
ぽりぽりと頬を掻きながら困っていた。

『(えーと…随分美化されてるな…どうしよう…)』

話が一段落すると、ガープが部下に壊した壁の修理を言いつけるも反論され結局自分も交ざり修理を始めた。

「そういえば、ルフィ、お前親父にあったらしいの?」

「親父?俺に父ちゃんなんていんのか?」

「ルフィの親父?」

「すっごい興味ある!」

「なんじゃ、名乗りでやせんかったんか?ローグタウンで見送ったと言っておったぞ?」

「ローグタウン?」

面々が困惑を露にするなかライは自分の話が終わり安堵しながら珈琲を啜る。

「お前の親父はモンキー・D・ドラゴン。革命家じゃ」

…………………………………っ!?

「「「「「えぇ─────────っ!?」」」」」

驚きの声にライは眉をしかめながら耳を塞ぐ。

「って、誰だ?」

「ルフィっ!あんたのお父さん、とんでもない男よ!?」

その言葉に困惑した様子でロビンを見るルフィ。
そんなルフィにロビンが一通りのドラゴンに関する情報を伝える。

「だけど…。今まで、彼に関する情報は一切世に出てはいなかったのだけど…」

顎に手を添えながらガープに視線を向けたロビンにガープがきょとんとすると…

「やっぱ、言っちゃまずかったかのう?」

シーンと静まり返った室内と屋外に直後響いたのは。

「じゃぁ、やっぱ今の………なしっ!!」

満面の笑顔でいい放った。
ガープの信じられない発言だった。




明かされた事実

(さすが、ルフィのじいちゃんだな)
(ライ。あんたなんで一人飄々としてんのよ)
(いや、お前らの反応がよすぎて俺反応できなかったわ!)
(そういえば、小僧。お前の髪見てると腹たってくるんじゃ。一発殴らせてくれるか?)
(はぁっ!?ふざけんなよ!とんだっ…!?)
ゴチーーン
(っくぅ………)
((あのライに拳骨…))

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