rode-43



メリーへと乗り込んだ全員が若干訝しげな顔を露にするが、ルフィが話し出そうとすると手が咲きルフィの口を塞ぐ。

「皆、ありがとうっ!」

ロビンの言葉に全員が笑顔を見せる。
と、そこで追いかけてくる軍艦が砲撃を仕掛けてきた。
が、一向に当たるどころか軍艦同士がぶつかり合い陣形が崩れだすと事の次第に気づく。

「お、おいっ!サンジ、さっきいなかったのはもしかして」

「逃げるのに一苦労だろ?」

ニヤリ笑うと正義の門を閉めてきた事を安易に語っていた。

「よし!それじゃあ、渦潮の流れが読めるまでどうにか皆耐えてっ!!」

ナミの声に、体が動くようになったチョッパーが舵を握り、ナミは波の計算を始め、ルフィは体が動かないのでそれ以外の全員が船尾にて砲弾を蹴散らす。

「72煩悩砲!!」

「百花繚乱…ディフェンス…」

「そら、返すぜぇ」

ライもメリー上空で飛びながら迫る砲弾を剣で弾き返したり、破壊する。

と、下からナミの声が響いた。

「ライ!!そろそろ降りて、一気に行くわっ!!」

それに頷いて船尾へ降り立つと丁度ルフィで飛んできた砲弾をサンジとゾロが受け止め、返したところだった。

「助かったぜ!船長!」

「『お前ら鬼畜か…』」

たまたま目にしたウソップと声を合わせて告げると、フランキーが前にでた。

「風來砲(クー・ド・ヴァン)」

フランキーの技でメリーは…空を飛んだ。


「船が飛んだ!?」

「すぐに体制を整え次第追いかけますので!」

「いいよー。この被害状況見ても、負けたのはこっちだからねぇ…作戦中止ね」






「ここでいいのかい?」

「あぁ!俺の特等席なんだ!」

ココロに運んでもらい、メリーの船首へと乗ったルフィに船首甲板へと集まった全員が目を向ける。

「メリー、ありがとうなっ!ロビンも無事に帰ってきた。このケンカ…俺達の…勝ちだぁっ!!」



その後W7へと向かう道中ナミがあちこちを見て回っていた。

「おっかしーわねぇ?」

「…ナミ、どうした?」

ゾロが訪ねると、

「どこを探しても、誰もいないのよ…」

「だーからっ!!ありゃ、メリーの声だったんだって!!」

叫ぶルフィにライはその会話に耳を傾けながら船首を見上げる。
その顔は酷く悲しげに歪んでいるが、誰一人それに気づくものはいない。


と、そげキングへと変装し直したウソップに気付かずにチョッパーと船中を探し回るルフィが遠くに見えた船に気付いた。

その船の帆にはガレーラの文字。

「あぁっ!!アイスのおっさん!!おーーーーいっ!!」


「とんでもねぇ奴等だ…世界政府を相手に……本当に何もかも奪い返してきやがった…!?」

歓喜に沸く海上で異変は起きた。

大きな物音をたてて、メリーが真っ二つに割れた…。

「メリーっ!?」

「見ろっ!あいつらの船がっ!」

「おいっ!?どうしたんだ!?急に…」

「メリー号が…っ!!」

「……急にも何も……当然なんじゃねぇのか…」

慌てるルフィにサンジが言う。

「メリーはもう2度と走れねぇと断定されてた船だ…忘れたわけじゃねぇだろ」

『限界…だったんだろう…』

それぞれが顔を歪める。

「………でも。おっさーーん!!やべぇっ!メリーがやべぇよっ!!何とかしてくれっ!!お前ら丁度良かった!!皆船大工だろ?頼むから!何とかしてくれよ!!ずっっと一緒に旅してきた仲間なんだよっ!!さっきも!!こいつに救われたばっかりだ!!」

ルフィの悲痛な声が海上に響く…が。

「なら、もう眠らせてやれ。」

アイスバーグはそう告げた。

「すでにやれるだけの手は尽くした…」

そして、アイスバーグは裏町で見つけたメリーを修繕した事を話す。

「俺は今……奇跡を見ている」

「………もう限界なんかとうに超えてる船の奇跡を…長年船大工をやってるが…俺はこんなにすごい海賊船を見た事がない…」

「"見事な生きざまだった"」

その言葉にルフィは俯き、頷いた。

それから、全員が小舟へと移りルフィが1人乗り込んだ小舟はメリーへと近付く。
その手には火のついた松明が握られている。

「じゃあ、いいか?皆」

「メリー…海は暗くて淋しいからな…俺らが見届ける…ウソップは…いなくてよかったかもな…あいつがこんなの…耐えられるわけがねぇ…」

「どう思う…?」

ゾロが静かにそげキングへ聞いた。

「そんな事ないさ…決別の時は来る。男の別れだ。涙の1つもあってはいけない。彼にも覚悟は出来ている」

「長い間…俺達を乗せてくれて…ありがとう…メリー号」

その時ルフィがメリーに火をつけた。
一気に船体へと広がる炎。
ルフィの船がメリーから離れ、全員がメリーを見つめる。
ライは前髪をかきあげ後ろへと流すと、メリーの最後をその目に焼き付ける。

チョッパーが…ナミがロビンがその瞳に涙を浮かべ、流す。

と、突然空から舞い降りたのは雪。

「……………雪」

ナミの手のひらに雪が舞い降り、溶ける。


《キャラベル!!》

《うおーー!!!!》

《これで海賊船ゴーイング・メリー号の出来上がりだ!!》



《大砲の練習だよ!せっかくついてるし》

《ばかめ、俺に貸してみろ》




《ほら!メリー号にひどいキズ!!帆船は全員で操縦するのよ!ちゃんと覚えて!!》

《す、すいません》



《ここが世界で1番偉大な海……!!》


《うぉらっ!!ルフィ!ふざけんなよ!!》

《にっげろーー!!》


《飛んだー!!》

《すげえっ!船が飛んだ!!》

《空島だーー!!》




【ごめんね…】

「え?」

【ーもっと皆を遠くまで運んであげたかった…ごめんね…ずっと一緒に冒険したかった…だけど僕は】

「メリー!?」

涙と鼻水を流しながらチョッパーが叫ぶ。

「ごめんっつーなら!!俺達の方だぞ!メリー!!」

ルフィが泣きながら叫んだ。

「おれ、舵下手だからよー!お前を氷山にぶつけたりよー!帆も破った事あるしよ!!」

「ゾロもサンジもアホだから色んなモン壊すしよ!!そのたんびウソップが直すんだけど、へたくそでよぉ!!ごめんっつーなら…」

【だけどぼくは幸せだった】

【今まで大切にしてくれてどうもありがとう】

【僕は本当に幸せだった…】



「メリーーーーーーーっ!!」



炎に包まれ、海へと沈み行くメリー号。
ライの目にもうっすらと涙が溜まり、流れた。


『(ありがとう…メリー)』



愛すべき仲間との別れ

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