rode-36
暴走海列車。ロケットマンで海に出る事数分。
まず1つ目の壁が現在襲ってきていた。
先頭車両の屋根にはルフィとゾロ。
その少し後ろには、フランキー一家のザンバイ、そしてライがいた。
『でっかい津波だねぇ…』
「んな暢気な事言ってる場合かよっ!あんなのにのまれたらひとたまりもねぇぞ!おい!お前ら砲弾の準備だ!」
『……必要ねぇと思うけどなぁ』
「ライ!一応お前も手貸してくれるか?」
『………OK。船長』
ルフィの声に答えるとルフィの隣に立つライ。
反対側にはゾロ。
ライは剣を鞘から抜いて肩に乗せて津波を見上げる。
隣ではルフィとゾロがそれぞれ腰を落として技を出す体勢に入る。
「「ゴムゴムの三百煩悩砲!!」」
2人の声に合わせてライも剣を一閃、共に翼を羽ばたかせて能力の技も繰り出した。
3人の技は津波に大きな穴を開ける。
「す、すげぇ…敵に回したら厄介だが、味方となったらこんなに心強い事はねぇ…」
ぼそりと歓喜に沸くフランキー一家の中でザンバイが呟いた。
「よしっ!このまま突き進むぞー!!」
ルフィの雄叫びを背にライとルフィは車両へと戻る。
「あ、おかえり!やっぱりゾロもライもつえーなっ!」
笑顔で出迎えたチョッパーの頭を撫でるライと樽に座り寝に入ろうとするゾロが顔を見合わせてニヤリ笑いあう。
それを見たナミが口を開いた。
「あんたらって、似た者同士よね。実は」
『っ!?おい、待てよ。それはないっ!なぁーんで俺がこの万年寝太郎の迷子マリモと似た者同士なんだっ!納得いかねぇぞ』
「うぉいっ!んな事言ったら俺だって納得いかねぇよ!俺をこんな能天気野郎みてぇなのと一緒にするんじゃねぇ」
「やってやったぜ的な勝ち誇った悪そうな笑い方とか。そっくりよ?」
『……………よかったなぁ?ゾロ。俺に似てるおかげで少しは救いようが出てきたじゃねぇか』
「そりゃあこっちの台詞だぜ。勘違いすんなよ」
黙って睨み合う2人にナミがため息を溢す。
バチバチと散っていた火花がでんでん虫の音に引き裂かれた。
「あ、サンジ君だわ」
そこから、ルフィを呼び情報を交換する。
ロビンが一味を守るために捕まった事もサンジへと伝えられる。
「暴れてもいいぞ。サンジ」
「何言ってるのよ!危ないわ」
「そうだぜ!ルフィ!せめて俺たちが追い付くまで…っ!!」
「ゾロ。お前だって待ってられねぇだろ?」
『ルフィの言う通りだ。今はサンジに任せようぜ?それに何言っても、この状況。あいつの騎士道とやらが黙ってねぇだろ?』
そうして大きな破壊音と共に通話は切れた。
ライは窓際に近より荒れる海を見据えた。
『(先を知ってるけど、ざわつくんだなぁ。心が…。)』
そうして壁に背を預けて寄りかかると腕を組みたったまま瞼を閉じた。
「ん?ライ?具合でもわりぃのか?…………」
「?チョッパー?どうしたの?」
「ライが……ライが…」
呟くチョッパーに近よりライを見上げたナミは唖然とした。
「「立ったまま寝てるっ!!」」
「こらぁっ!この一大事にそんな技を披露しろなんて言ってないわよ」
ギャーギャーとナミが騒ぐもライは目をさまさず器用にたったまま深い眠りについているようだった。
その頃。ライは夢を見ていた。
今は遠い海で旅をしている家族達の夢。
「おい!ルカ!!」
『んー?あれ?サッチにマルコ。どしたの?』
「どうしたじゃねぇよ?さっきの戦闘で怪我してたろ?ちゃんと手当てしたのか?」
「仮にも女だろい?体に傷なんて残しちゃだめだろい?」
『そんな大した傷じゃないから平気だよー!…っギャアっ!!?』
「へーぇ。ルカにはこれが大した傷じゃないんだねー。知らなかったよ」
背後から傷をわざと叩くハルタに痛みから奇声をあげた。
涙目で振り替えるとそこにはハルタとイゾウ。
「全く。無茶するのは構わないけどねぇ。そのあとの事もきちんとしないとお前がよくても俺ら兄貴が心配だろう?」
イゾウが塗り薬を片手にルカに歩み寄る。
『いや、あの?イゾウさん?自分でっ!自分でやるからっ!!っ!?─────っ!』
問答無用とばかりにルカの腕を取り刀で綺麗に切られた箇所に塗り薬をグリグリと塗りたくるイゾウ。
あまりの痛さに声にならない悲鳴をあげた。
「俺は久しぶりに恐怖を感じたよい…」
「お、俺も怪我したらすぐ医務室行こう…」
「僕も、そうしようかな…」
薬を塗られた後にはガーゼを貼られて綺麗に包帯が巻かれたルカの腕。
えぐえぐと涙を拭うルカにふとイゾウが笑いかけながら頭を撫でる。
「例え、お前が大した事ないと思ったとしてもだ。きちんとこれから看てもらえ。それとこれは親父からの忠告だぞ?次、手当てしねぇでほっといたら俺がやってやらぁってニヤニヤしてたねぇ…」
コクコクと高速で顔を青くさせて頷いたルカ。
そしてそんな焦ったルカを見て笑う。
「おーい?なにしてんだ!!」
そこにエースが混ざりふざけあう。
そんな穏やかで暖かな記憶。
目が覚めると知らず知らず笑みを浮かべていたのか。
「お!ライ起きたのか?なんか、にこにこ笑ってたぞ?いい夢でも見てたのか?」
『…ん。そうだな。懐かしい…夢を見た』
穏やかに笑うライにチョッパーも笑い返す。
と、外で大きな音が響いた。
窓から外を見ると、真っ二つにされたパッフィング・トムの車両。
『(もう、ここまで来たのか…)』
短い睡眠とはいえ、充分に休めたのか体は軽い。
車両の上へと移動するため窓から出ていく。
『よう、海列車は見えたのか?』
「まだだけど!多分もう少しだっ!」
『ルフィはずっとここにいんのか?』
「ん?あぁ!!そのつもりだ」
『それじゃあ、俺もここにいるかな』
笑みを見せてルフィの後ろに佇むライに、にししっと笑顔を返すルフィ。
「あの紅い髪の兄ちゃんはやたら男前なんだかふざけてんだかわかんねぇが。いるだけで、妙に安心すんな」
「あぁ…確かにな。麦わらもだが。あいつも、任せておけば大丈夫な気がしちまう。」
ザンバイとパウリー達の会話にナミが笑う。
「そりゃあねぇ。一応ロビンを除いた一味でも一番歳上だし。いつもあんなんだけどいざというときは頼りになるのよ?あいつら…」
と、突如ロケットマンを襲った大きな震動に全員が車両内でぶっ飛んだ…
遠い記憶の中の兄達を見習う
(なっ!何よ!?今のっ!)
(っぶねぇー…。ルフィ大丈夫か?)
(あぁ。あんのカエルー!ライが助けてくれなかったら危なかったぞ!!こんにゃろー!)
(お、落ち着け。また落ちそうになるぞっ!)
(落ち着いてられっか!あいつのせいで線路から外れたんだぞー!)
((まさに、漫画なら横にムキーって書かれてそうな勢いだな…))
▼
main