rode-23
『おっさん。焼きそば2つな』
「おう!ちょっと待ってなぁ!」
『なぁ、この勝負の度にこのお祭り騒ぎしてんのか?』
「あぁ!宴みてぇなもんさっ!俺らにとっちゃあなっ!おらよっ!」
『お、サンキュー…』
「兄ちゃんも出るんだろ?まぁ、せいぜい頑張れよ!」
『おう…ほうだな…』
もぐもぐと焼きそばを食べながら、ルフィ達が集まる場所へと行くライ。
「あんたぁっ!何悠長に焼きそばなんか食べてるのよっ!」
『いや、旨そうだったから…つい』
「まぁ、いいわ!試合は3回戦まで。出る種目を決めるわよ!1回戦は全員出場ね…。レースみたいだし。2回戦は各チーム3人…誰が行く?」
『(確か1回戦で負けてチョッパー取られちゃうんだっけなぁ…うーん…この位手助けしても大元は変わらないだろうし…)』
「ゾロとサンジ君…あと1人は……」
『俺、行くぜ?面白そうだ』
「じゃあ、2回戦はゾロとサンジ君にライね。最後はルフィ1人で決まり…」
「たのしくなりそうね?航海士さん」
「全然よ…もう、嫌…」
「おい、ナミ!いい加減諦めろ…」
「うっさいわよ!ゾロっ!」
口喧嘩を始めたゾロとナミを見て、ニヤニヤし始めるライにウソップが不思議そうな顔をする。
「おい、ライ。何ニヤニヤしてんだ?」
『いや…見てりゃあわかる』
ほくそ笑みながら言った瞬間一際大きな怒声と供にゾロの頭にナミの鉄拳が落ちたのだった…。
『あははははは…!!バカだなぁ!ゾロ!』
「俺はたまにお前が恐ろしい…人の不幸でそこまで笑えるのか…」
『(先を知ってるから面白いってだけなんだけどな…)だってよ、予想できるだろ!あーなんのは…ぶふっ!それなのに、回避できねぇとはまだまだだなぁ!ゾロ!あーはっはっはっはっ!』
「ライっ!てめぇ、あとで覚えてろっ!」
『覚えてたらな!ぶふふっ!!』
【おーっと!早くも麦わら海賊団は仲間割れか!?ん?違うようだ!航海士と剣士の言い合いからいつの間にか剣士と騎士の仲間割れに変わってるよー?チームワークが心配だねぇ!】
『あいつ、うるせぇな。打ち落とせよ、ウソップ』
「おまっ!本当に鬼畜だなっ!」
【さぁーて!エントリーシートも提出されたところで1回戦の説明だ!!】
超スズメにのった実況の男が1回戦のレースの説明を始める。
そして、樽を3つ使ってのボートレースが始まる。
麦わら海賊団のチーム分けは、ナミ、ロビン、ウソップ。
チョッパー、ゾロ、ライ。
サンジ、ルフィ。
それぞれがボートを作成すると、スタート位置へと向かった。
「なぁ、何であいつら違う方向いてんだ?」
『さぁなー。取り合えず、チョッパー。ボートにしっかり捕まっとけよ?』
「お前、何するつもりだよ…」
『ゾロ君?それは始まってからのお楽しみだよ?』
ニヤリと悪どい笑みを浮かべたライに2人は背筋に嫌な汗が伝う。
と、スタートの合図が鳴り響くとウソップが叫んだ。
「お前ら!!離れろっ!」
が、時すでに遅し。
巨大な樽から海水と供に流れ出てくる大量の樽。
「こりゃ、爆弾かなんかだな…」
サンジの呟きにウソップが悲鳴をあげる。
「おい!どうすんだよー!!」
「おい!チョッパー!オール貸せ!」
「え?あ、うん」
『まぁ、待てっての!俺に任しとけ』
ライの声に全員がライを見るとその笑みに固まる。
【おやぁ?麦わら海賊団は完璧に出遅れたようだぞ?だが、騎士が何か企んでるようだ!フォクシー海賊団のみんな!気を付けろー!】
『あいつ、まじでうるせぇな…。まぁ、やるか…』
迫る樽に視線を向けると、ライは能力を使う。
その瞬間強風が襲い、樽は意志を持つかのようにフォクシー海賊団の数隻のボートへと襲いかかる。
「なんだ!?こりゃあ!!」
フォクシー海賊団の船員の悲鳴と供にボートはどんどん爆破されていく。
それをニヤニヤと笑いながら眺めるライ。
『あんま、卑怯な真似はしねぇこったな。俺が黙っちゃいねぇぞ?割れ頭?』
フォクシーを指差しながら言った言葉にその場にいた両海賊団全員が青ざめる。
「み、味方でよかったな…」
チョッパーの言葉に全員がうんうんと頷きながら同意をする。
逆にフォクシー海賊団の面々はさらに青ざめる。
【なんだ!なんだー!紅の騎士ライはどうやらなにかの能力者のようだ!!ってあれ?】
決め台詞の様に決めたつもりはないが、何故か突如上がった黄色い声に全員が振り向くとフォクシー海賊団の女性の船員がライに向かって何かを叫んでいる。
「いやーん!手配書で見た時からいいと思ってたけど!本物は更にいい男だわー!きゃーー!」
口々にそう叫ぶ女達に、機嫌良さげに手を振り返すライ。
【おーっと!やはり顔なのか!?我らが海賊団の船員ながら、敵を応援しだしてしまった女性陣!これはちょっと不利かー?】
「何なのよ…これ…」
「と、とにかく。これで進める一気に行くぞ!お前ら!」
ウソップの声に我に返った麦わらの面々は一気にこぎ始める。
だが、ここでもライは能力を駆使してボートを進める。
ライ以外には見えていないが、ライが翼を羽ばたかせる度にぐんぐんと進むボート。
「お前、俺らのだけ進めても意味ねぇんじゃ…」
『先に行って、ふざけた船沈めりゃあいつらが進みやすいだろ?行くぞ?マリモ』
「てめぇ!マリモじゃねぇ!」
口喧嘩をしながらもぐんぐん進むと先の爆破から逃れた船が近づいてくる…と。
「酒に、甘いものはどうですかー?」
居酒屋のような屋台舟から、敵船の男が声をかけてくる。
ライ以外は見事に食いついてしまい、ライは一旦ボートを止める。
横を見るとサンジが女を口説いてる真最中。
取り合えず仕掛けてくる奴はいないので、ナミ達を先に行かせるライ。
だが、フォクシー海賊団のボートが一艘ナミ達の乗るボートに攻撃を仕掛けてくる。
【ポルチェちゃんの攻撃に鬼畜の限りを尽くす航海士もたじたじかぁー!?】
「あんたら!なにやってんのよー!!」
それにいち早く反応したサンジがルフィを連れ戻して、ナミ達の元へ急ぐ。
その内に、ライ達にも近付くフォクシー海賊団。
それに気付いたゾロが一艘潰しにかかるがそのまま海に落ちてしまう。
その間にもう一艘がチョッパーとライの乗るボートに攻撃を仕掛ける。
咄嗟にチョッパーを抱えると空に飛び上がると、ライがまたも能力を使い、そのボートを沈めるもライ達のボートも大破してしまい、戦線離脱。
「うおー!俺空飛んでるっ!!」
『よし。これでいいな。陸からフォクシーの邪魔してやらぁ』
海に浮かぶゾロも回収すると、フォクシーを探しながら陸に降りる。
【紅の騎士ライ、今度は空を飛んだぞ!ほんとに何の能力者だぁー!】
フォクシーがハンバーグの背に乗り移動し出したのを見つけるとライは二人に声をかけ、それを追う。
そして、追い付いた頃にはナミ達がゴール目前。
ライが少し慌てながら能力を使う
『フェザーアロー』
誰にも聴こえない位の小さな声で呟くと、見えない羽がフォクシー目指して飛んでいくが、フォクシーの放った怪しげなビームの方が少し早かったのか。
ナミ達のスピードが落ち、ポルチェ率いるボートがゴールしてしまったのだった。
だが、その瞬間フォクシーを襲ったライの羽根の攻撃はかなりのダメージを与えたようだった。
ゴールに駆け寄ると何が起きたのかわからず呆然とするナミ達。
「な、何が起きたのよ!?」
『あいつも、悪魔の実の能力者ってわけだな』
「えぇっ!!」
「そのむかつく男前な野郎の言う通りだ!フェッフェッフェッ!!」
『んだ。腹立つ笑い方だな、この野郎』
「んなっ!!何て失礼な…。まぁいい。俺はノロノロの実を食べたノロマ光子をビームにして出す!どうだ!凄いだろう!」
撃たれた砲弾にビームを浴びせのろくし、説明をするフォクシー。
『くそ役たたずな能力だな…』
ぼそりとライが言った瞬間、元のスピードに戻った砲弾がフォクシーに当たる。
「あいつ、バカだなー…」
「ルフィに言われたら終わりね」
「だな…」
「とにかく!!1回戦は我らフォクシー海賊団の勝利だー!」
【じゃあ、フォクシー船長に麦わらから欲しい人材を選んでもらいましょう!さぁ、誰?】
「俺が欲しいのは…………」
「あぁ、きっとあたしだわ!」
ナミがうちひしがれていると、フォクシーが口を開いた。
「dr.チョッパー!!」
DBF開戦!!
(お、おで!やだよーー!)
(ナミ、お前ちょっと恥ずかしいな…)
(うるっさいわよ!ライ!)
(確かに、チョッパーは珍しいからな…)
(いやだーーぁ!!!!)
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