rode-24
先の勝負で敗戦を喫した麦わら海賊団は船医であるチョッパーを奪われてしまった。
舞台上では椅子に座ったチョッパーにフォクシー海賊団のトレードマークとも言えるマスクが着けられていた。
その時、チョッパーが涙を流しながら声をあげた。
「おで!おで!やだよぉー!!俺はお前らとだったから!海に出ようって思ったんだ!ルフィが誘ってくれたから。なのに、こんな奴等とだなんて!!」
大きな声で嫌だと叫ぶチョッパーにそれまで酒を煽っていたゾロが瓶を地面に力強く置くと声を荒げた。
「ガタガタ抜かすなっ!チョッパーっ!!見苦しいぞっ!!」
ゾロの声に会場はどよめく。
「お前が海に出たのはお前の責任!!どこでどうくたばろうとお前の責任!!誰にも非はねぇっ。ゲームはうけちまってるんだ!!ウソップ達は全力でやっただろ。海賊の世界でそんな涙に誰が同情するんだ!!男なら!!フンドシ締めて勝負を黙って見届けろ!!」
「そんな事……!あんたあいつの気持ちも……」
ナミが間に入り、ゾロを止めようとするがチョッパーが動いた。
流していた涙を拭くと腕を組み、椅子にどかりと座り直すと声をあげた。
「煮るなり焼くなり、好きにしろぃっ!!」
「チョッパー…」
心配そうにチョッパーを見つめるナミ。
だが、ゾロは満足そうに笑みを浮かべて
「よし!!じゃあ、さっさと次の試合始めようぜ?」
「うぉぉーー!なんだ!あいつ!すげぇ男前だぞ!」
「次はあいつが欲しいなっ!」
「いかすぜ!兄ちゃんっ!!」
フォクシー海賊団の面々が沸き立つ。
それを暫く眺めていたライが前へ出てくると
『さぁーて。早くやろうぜ?チョッパーにんな趣味のわりぃもん着けやがって…てめぇら…ただで済むと思うなよ?』
悪どい笑みを浮かべていい放ったライにまたも全員が青ざめる。
【さぁて!一段落着いたところでお次はグロッキーリングだ!ルールは簡単。ボール役になった奴をゴールであるリングに入れるだけ!!武器の使用は認めないよー!!】
いつのまにか引かれたフィールド内へと入っていくゾロ、サンジ、ライ。
それを見送る麦わら海賊団の面々は1つの不安を感じていた。
「ライはともかく。あの2人にチームプレーなんてできるのかしら…」
ナミの心配をよそにフィールド上で言い合いを始めたゾロとサンジ。
「おい、クソコック。てめぇは休んでてもいいんだぜ?」
「んだとぉ!そう言うてめぇが休んでやがれっ!くそ剣士!」
言い合いに留まらず今にも殴りあいを始めそうな2人に歩み寄るライは2人の背後にたつと大きく拳を振り上げるとゾロとサンジの頭に思いきり拳を落とす。
「おい。おめぇら、ふざけてんなら…下がってろよ?ぶっ飛ばされてぇか?」
冷たい視線を2人に向けて静かな声音で語りかける。
それにゾロとサンジは身の危険を感じ睨み合いながら押し黙る。
すると、サンジの頭にボール役の目印が着けられる。
「っ!?んで、俺なんだよっ!こういうのはマリモの役目だろうが!」
「はっ。よく似合ってるぜ?」
「んだとぉ!この野郎っ!!」
その言い合いにまたもキレそうなライを見てとったナミが慌てて仲裁に入る。
「サンジ君!!スゴい似合ってるわよ!」
「俺しかいねぇだろ!」
そうしてごたごたとしながらも、試合開始のホイッスルが鳴り響いたのだった。
「うぉしっ!先手必勝!」
相手のボールマンである巨人と魚人の間に生まれたビックパンへ向かっていくサンジ。
が、ジャンプしてビックパンの体に足をついた瞬間ツルツルと滑り殴り飛ばされてしまった。
すぐに、ハンバーグとピクルスがサンジをゴールに入れようと動きだしピンチを迎える。
「何やってんだ!くそコックの野郎!」
愚痴を溢しながらもフォローへと走るゾロとライ。
ゾロはビックパンの元へ走ると両足を抱えジャイアントスイングを仕掛ける。
勢いもそのままにサンジに迫るハンバーグとピクルスに向かって放り投げる。
だめ押しとばかりにライが飛び上がり2人をビックパン目掛けて蹴り飛ばすと空中で3人は思いきり激突。そのまま地面へと落下していった。
それを確認するとライは下へと静かに着地すると、何やら言い合う声が耳に入る。そちらに視線を向けるとまたも言い合うゾロとサンジの姿。
『……たく。あいつら、又かよ…』
「あんなの!俺1人でも大丈夫だっ!」
「何言ってやがる!危うくゴールされそうになりやがって!ふざけんじゃねぇぞ!」
ギャーギャーと言い合う2人にルフィ達は
「アハハハハ…!あいつら、おんもしれぇ!またやってるよっ!」
「おい、ルフィ…笑い事じゃねぇぞっ!!」
「そうよっ!敵は今全員伸びてるのよ!今がチャンスじゃないっ!こらーっ!あんた達何やってんのよっ!早く試合に……あ…」
「あら…ライどうしたのかしら?」
『お前らは…本当にいい度胸してやがんなぁ?邪魔だから、おめぇらが下がっててもいいんだぜ?あぁ?』
冷笑を浮かべてそう言ったライに直ぐ様頭を下げて謝罪するゾロとサンジ。
「(なんなんだよ…こいつの威圧感…)」
「(思わず頭下げちまったが、ナミさんとロビンちゃんが見てるのに!!俺は何やってんだっ!?)」
『わかりゃあ、いい。行くぞ。』
【おぉーっとー!麦わら海賊団が揉めてる間にハンバーグ達は復活したようだ!!試合続行だよー!】
フィールド中央へと戻ると試合再開のホイッスルが鳴る。
試合再開と共にビックパンが3人に向かってくる。
が、どうやら走り方もおかしい。
しかも、3人供が走ってビックパンから逃げ出す始末。
「おいっ!!おめぇら!何やってんだよ!?」
不思議に思ったルフィが3人に問いかける。
「うるせぇよっ!こいつ靴の裏に武器仕込んでやがんだよっ!!」
【どうやら、ビックパンの靴の裏に武器が仕込まれているらしいが!?生憎、審判は余所見をしていて気付いてないようだっ!!】
「ふざけんなぁっ!!」
追いかけられている状態から怒鳴りながら離脱したサンジが審判へと詰め寄る。
「てめぇ!審判だろうが!?よく見やがれっ!!」
それを口笛を吹きながら知らんぷりする審判に頭に血が登ったサンジは思わず渾身の蹴りを審判に浴びせてしまう。
それをすかさず止めるウソップ。
「サンジ!堪えろっ!これじゃあ、あいつらの思うつぼ…」
と、鳴り響くホイッスルに今しがた蹴り飛ばした審判を見るとレッドカードを出している。
それに更に怒りを増幅させるサンジにライがビックパンに追いかけられながら叫ぶ。
『サンジ!こうなったら、次から次に反則を仕掛けてくるぞ!いちいち文句を言ったところで変わらねぇ!それよりさっさとケリつけた方が利口だ戻れっ!!』
その声と共に逃げるのをやめてビックパンに向き合うと顔面まで飛び上がりその顔を思いきりパンチをめり込ませるとその衝撃でビックパンは地面へと倒れ混む。
「よしっ!ぶっ倒れちまえばこっちのもんだ!」
「どじょうで滑るからって、スケートみてぇなもんだろっ!」
勢いよくビックパンの背に飛び乗った2人に先を知るライがしまった!?という顔をするも時既に遅し。
「何っ!?」
「ぎゃぁーーー!!」
2人は海老ぞりになったビックパンの背で高速でぐるぐると回り出す。
『あららぁ〜……』
それを眺めるライだったが我に返ると、ビックパンに向かっていく。
そこへ突然立ちふさがったのは武装したハンバーグとピクルス。
「行かせねぇーぞ!ぷくくく…」
『邪魔…すんじゃねぇよ!どけ!獣っ!』
2人に向かって走り出すも何故か突然の大爆発!
ライも巻き込まれ吹っ飛んでしまう。
その間にライの元に飛んだピクルスにより刺のついた肩当てでタックルをされてしまい血だらけで地面へと落下。
その後、ビックパンの背から大砲の如く飛ばされたゾロとサンジもハンバーグとピクルスの餌食となり地面へと沈んでしまった。
チームプレー出来ますか?
(おい。くそコック、ライ。ちょっと手ぇ貸せ。あいつらぶっとばす)
(あぁ。いい加減俺も我慢出来なくなってきたとこだ。しょーがねぇから手ぇ貸してやらぁ)
(反撃開始だ。行くぞ。ゾロ、サンジ。思い知らせてやる)
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