「ねぇ、今年は誰がグランプリだと思う?」
「美女はハンコック先輩で確定でしょ」


今日のお昼はみんなで机を囲って食べることにしたわたし達A組女子は、文化祭のメインイベント、美女美男(イケメン)コンテストの予想を立てていた。


「まだパンフレットでないのかな?」
「あたし持ってるわよ」
「「見たいっ!」」


ノジコは鞄から冊子を取り出すと、中心の机にポイッと投げた。

“第54回ワンピース学園 美女美男コンテスト ”

しかし、わたしの頭には疑問が浮かんだ。このパンフレットは文化祭の15日前に一斉に配られるものだから。文化祭はまだ1ヶ月ほど先だ。


「ノジコ、なんで持ってるの?」
「だってあたし文化委員だもん、これはまだ試作段階だけどね〜」


なるほど、納得した。このパンフレットは文化委員が作ってるものだから、ノジコが持ってても不思議ではない、というか、このクオリティで試作段階なんだ…。


他の子達はパンフレットに食らいつくように身を乗り出した。

この文化委員会主催の美女美男コンテストとは、名前の通り学校中から美女と美男が投票で選ばれる。

まず予選があり、生徒1人につき一票、文化祭までの15日間の間に投票する。
そして残った上位の男子40名女子40名の中から文化祭当日、一般の来客人も参加で最終投票する。
ちなみに、予選では誰にでも投票できるけど、最終では残った40名の者にしか投票できない。そういうルール。

そこでやっと、男女それぞれ上位5名が決められ、その人たちは文化祭当日の舞台で表彰される。

ちなみに去年の男女上位5名を言っておくと…


美男
1位…キャベンディッシュくん
2位…シャンクス先輩
3位…エース
4位…マルコ先輩
5位…ローくん

美女
1位…ハンコック先輩
2位…マーガレットちゃん
3位…カリファさん
4位…おつる先生
5位…ロビン


あ、そうそう、これは教師にも投票が可能で、昨年はおつる先生がなんと4位という異例の結果を残した。

そして、パンフレットには主に1年生の候補者が載っている。


「今年のパンフレットなんか豪華じゃない!?候補者のいろんなショットがある!」
「ふふっ、でしょ?アブサロムに協力してもらったのよ」


ウインクを決めるノジコを、みんな神様のように崇めてる。

わたしもパンフレットをのぞいてみると、候補者1人につき1ページキャッチコピーと共にプロフィールやら日常の写真などがたくさん載っているみたい。


「あ、ルフィくんだ」

なになに…


“海賊王におれはなるっ!”

ドン!という文字と共に、大きく象られたルフィくんの写真。そして背景にはルフィくんの日常のショットがたくさん…。

かわいい…


「この子エースくんの弟だよね!」
「なにこの笑顔!癒される〜」


うんうん、みんなからも好印象、彼には頑張ってほしいなぁ。

ペラリ、次のページへ…



“目指すは世界一の大剣豪。背中の傷は剣士の恥だ……”

あ、確かルフィくんの仲間の……、ゾロくんだ!

「「かっこいい〜!」」
「後輩だと思えないわ…」
「あのミホーク先輩にも一目置かれてるって噂よね!」
「でも方向音痴らしいわ」
「ギャップが素敵〜!」

そのギャップ素敵なの!?


ペラリ、次のページへ…



“女のウソは許すのが男だ…!!”


「…なんでこの子は写真じゃなく絵なの…?」
「アブサロムがレンズのキャップ外すの忘れたんだって」
「な、なるほど…」


なんて不運な!一度会ったけどちゃんとイケメンの部類に入る人だったよ…!!


ペラリ、次のページへ…


“アイアイキャプテーン!”


き、きたー!!ベポッ!!

「きゃー!かわいいっ!」
「…かわいいけど…」
「なんでテンション下がってるの!かわいいじゃん!」
「恋愛対象じゃないよね…」

あのモフモフお腹に顔を埋めたい…!!

ちょ!ベポだけ捲るの早くない!?



“違いない”

いやセリフ短っ!
それにキラーくんってこの間会ったばっかだ…。


「素顔が気になるわねぇ」
「きっとカッコいいんだろうなぁ…」



次のページからは美女の部のようだ。


“この船の航海士はだれ!?”


「いやァー、かわいいわ」
「この子ノジコの妹でしょ?」
「そうよ、あたしよりお金にがめついんだから」


確かに…ページの端っこにこう書かれてる…

(お金貸すわよっ!三倍返しね!)

絶対借りない!



“おーかーわーりー!”

あ!1年生の!確か水泳で溺れてた子じゃん!ピンク髮のかわいい女の子。ジュエリー・ボニーって名前なんだ。

「なんでこんなに細いの!?」
「この子の彼氏大変そうだね…」


残りのページは昨年、男女ともに上位5入りを果たした面々の写真集になってるみたい。

わたしも、エースやマルコ先輩とよくいるからちょこちょこ写ってるのが気になるけど…、ファンにはたまらない一冊なんだそうだ。


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