今日は学校が始まって以来初の休日、そう土曜日です。

なので朝から家でダラダラダラダラ、女子高生とは思えない休日を送っています。
そんな時に鳴り響いた机に置いた携帯電話の着信音に、ベッドの上から腕を伸ばして手に取った。


「もしもし?」
「あっ、おれおれ!!」



まず名乗りなさい!!おれおれ詐欺じゃん!と突っ込みたくなるが、このテンションそしてこの声、思い当たる人物はただ一人。



「エース?」
「おぅ!お前今日の夜なんか用事あるか?」
「別に何もないけど…」
「そっか、よかった」



ホッとする声が聞こえ、わたしは不思議に思い首を傾げた。



「名前さ、アラバスタの王女のビビって知ってるか?」
「え、砂漠の国のネフェルタリ・ビビ王女?」



知ってるも何も超有名人じゃん…!つい最近もアラバスタで日照りが続いて水不足だと報道されていた時も王女の活躍で雨が戻ってきたと言われていた。

で、なんでそのビビ王女が今出てくるんだろう?


「そう!そいつがルフィの友達らしくて」
「え!?あの王女と、と、と、友達!?」
「そ。んで今日の夜、食事会に誘われたんだと。だからお前も来いよ。」
「えぇ!わ、わたしも行っていいの!?」



王女と友達だなんてルフィくん一体何者…!!?
それにそんなすごい食事会に全く面識もないわたしが行ってもいいものなの?



「おれも行くし、ロビンはルフィの仲間だから来るってさ、それにノジコもナミと来るって言ってたし、だからお前も来い」
「う、うん!!行く!行く!けど…。わたしドレスとかないよ?」



正装なんてわたしは制服くらいしか持ち合わせていない。制服で食事会なんておかしいだろうし、一体どんな服装で行けばいいのか……。
そんなわたしの心配なんて知らず、エースは電話越しにプッと笑った。



「ぷはっ!ただ飯食うだけだぞ?普通の格好でいいだろ」
「ほんと?」
「おう!」
「うん!わかった…!」
「じゃあ決まり。名前んちに5時半に迎えに行くから用意して待ってろ」
「はーい」



エースとの電話を切り、すぐに時計を確認する。

3時半…後2時間か…とりあえず…



「お母ぁーさぁーん!!わたし今日食事会に行って来るー!」















鏡の前でくるっと一回転。スカートの後ろ側もチェックして、よし。と一言。


母に相談したところ、せめてものおしゃれくらいはしていきなさい。と言われ、シンプルなワンピースを選択した。メイクもいつもよりもちゃんとして、後はエースを待つのみだと、リビングのソファに座ったところで、タイミング良くインターフォンが鳴り、すぐに玄関へ向かった。


鍵を開け扉を開くと自転車にまたがったエースがいて、わたしを見るとニヤッと笑った。



「名前決めてんなぁ」
「ふふっ。エースこそ」


エースはいつもシャツの前のボタンを全部開けていて、ほぼ上半身裸状態なんだけれど、今日はきちんと全てのボタンを閉めていて、なんだか落ち着いた雰囲気。ネックレスと帽子はいつも通りなんだけど。



「エースもやれば出来るんだね。ボタン閉めてるエース初めて見たかも」
「母さんがさ、食事会ぐらいちゃんとしろって言うからさ。」
「へー?お母さんの言う事聞くんだー」



からかうように顔を覗き込んでそう言うと、少し頬を赤らめたエースが手でわたしの顔面を押さえつけた。


「わっ!」
「…うっせェ!早く乗れって」
「もー」


エースなりの精一杯の照れ隠しなんだろうな。女の子の顔に手を押し付けるのは置いておいてなかなか可愛いところもあるじゃないか。なんて思いながらわたしは自転車の後ろに跨り、エースのお腹に腕を回した。



「しっかり掴まってろよー?」



エースがそう言うと進み始めた自転車。ビビ王女の家ってことはアラバスタ地区まで行くってことだ。普通だと電車で1時間弱くらいかかる距離。だけど、エースの計算では自転車で30分だそうだ。でもやっぱり…



「は、速い!速すぎる!!落ちる!」
「しっかり掴まれ!」



なんとか振り落とされまいと、わたしはぎゅうっとエースの背中にしがみつく。エースの背中は広くて大きくて、それに温かい。なんだか少し安心感を覚えた。


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