「ココロさーん!チムニー!」
「んがががが!久しぶりらね」
「名前ねーちゃん久しぶり!」
「ニャー」

わたくし、ただいまシフト駅(ステーション)に到着しました。

母が、自宅のテーブルにW7までの道順のメモを残してくれていたので、それに従いこれから海列車に乗りこみます!


「W7行き何分後ですか?」
「あと30分らね、それまでゆっくりして行きな」
「ねーちゃんこっちこっち!」


ココロさんはシフト駅の駅長、チムニーはその孫。そしてゴンベはペットの猫。(ほんとはうさぎ)

チムニーに引っ張られ連れて来られたのは駅内の部屋。クーラーが効いていて、外から来たわたしには天国のように感じられた。


「涼しい〜」
「名前ねーちゃんアイス食べる?」
「食べる食べる!」


わたしをソファへと座らせると、チムニーは部屋にある冷蔵庫からアイスクリームを取り出して、ひとつ渡してくれた。


「ありがとう」
「いいえ!」


ニッと笑ったチムニーは、わたしの隣に座り並んでアイスを食べはじめた。


「それにしてもチムニー、去年より大っきくなったね〜」
「でしょでしょ?5センチも伸びたんだよー!」
「凄いね!わたしなんてすぐ抜かされちゃうね」
「えへへ〜」


かわいい…!!

それに、さっきからチムニーは猫のゴンベにもアイスを分けてあげているみたいで、本当良くで来た子だなぁ。と感心した。


「ねーちゃんねーちゃん!学校の話聞かせてー」
「いいよ、また友達が増えたんだぁ」


ノジコやロビンと撮った写真を見せながら説明してあげると、ロビンのことを指差しあぁ!とチムニーが声を上げた。


「このねーちゃん来た事あるよ!」
「うそ!?」
「ほんとだよ!海賊にーちゃん達と来たよ!」


そういえば、ルフィくんもW7に行った事あるって言ってたなぁ。ロビンもルフィくんの仲間だから一緒に来たのかな。

ピロリン♪


「あ、メールだ」
「だれだれ?エースにーちゃん?」
「違うみたい、マルコ先輩だ」
「誰ー?あたし知らない!」
「ふふ、また紹介するね」


ここに来るたびにチムニーはわたしの友達の事を聞いてくるんだけど、エースとはずっと同じクラスだから、チムニーもエースの事覚えちゃって、会った事もないのににーちゃんと慕っているわけだ。
ちなみに去年同じクラスだったペローナもゴーストねーちゃんと呼ばれている。

っと、マルコ先輩のメール…


《昨日は礼も言えずに悪かったな、おかげで良くなった、ありがとよい、W7楽しんでこい》


よかった、先輩もう良くなったんだ。正直サッチ先輩に任せるの心配だったけど、安心した…。


「ねーねー!マルコ先輩ってー?」
「うん、えっとね。エースにーちゃんのお友達って言ったらいいのかな。すっごく優しいんだよ」
「へー!!」








「んががが、もうすぐ着くらよ」
「はーい」


海列車に乗ってからもチムニーとゴンベと遊んでいたらあっという間だった。

ブルーステーションに到着すると、ぞろぞろと出て行く乗客の皆さん。今は夏休みということもあって乗員数が多いんだとか。


「んがががが、楽しんでいきな」
「はいっ!ありがとうございました!」
「あたしらも暫くこっちにいるから、また寄っとくれ」
「はーい、またねチムニー、ゴンベ!」
「バイバーイ!また遊ぼうねー!」
「ニャー」


ココロさんやチムニー達とも別れを告げ、わたしも駅へ降りた。

海列車内で母にもうすぐ着くと連絡したところ、迎えを寄越すと返って来ていた。
すぐにキョロキョロとあたりを見回すと思い当たる2人組を発見。


「アイスバーグさん!トムさん!」
「ンマー、久しぶりだな名前、元気だったか?」
「うん!お迎えって2人のことだよね?」
「そうだぞ、じゃあ行くか」


歩き始めたトムさん、アイスバーグさんにわたしも並んだ。
アイスバーグさんはこの街、W7の市長で造船会社ガレーラカンパニーの社長。まぁ、つまり、最強なのだ。

最近では、この街を襲うアクア・ラグナという水害の水位が年々上昇し、街が沈むのを防ぐため、街ごと海に浮かすという技術を開発中。

この街じゃアイスバーグさんを知らない人はいなければ、嫌うような人もいない。
で、そのアイスバーグさんの師匠がトムさん。

トムさんも小さな造船会社トムズワーカーズを営んでいて、とにかく2人ともすごい船大工さんなんだ。

隣を歩くアイスバーグさんを見れば胸ポケットから顔を出している白い生き物。


「久しぶり、ティラノサウルス」
「チュー」


アイスバーグさんの愛ねずみ、ティラノサウルス。
ネーミングセンスはおいといて、ちゃんと返事をしてくれる良いねずみだ。


「いつ来ても綺麗ですねー、W7は」
「ンマー、名前の方が綺麗だぞ」
「何言ってるんですか!」
「たっ!…はっ…!…!!…はっ!!」
「トムさん笑いすぎ」


さっそく見られたトムさんの特徴的な笑い方。一体どこにそんなにツボったのか…。


「トムさぁーーん!!」
「ンマー、トムさん呼んでるみたいだよ」
「たっ!!…ん?おぉー」


そこでも大笑いしていたトムさんは、急な仕事が入ったとかで、会社の人に呼ばれて行ってしまった。


「またトムさんの所にも遊びに行きますね!」
「待っとるぞ!たっ!!…っ…はっ…!!」


最後まで爆笑していた。

アイスバーグさんに付いて来てやって来たのはガレーラカンパニー1番ドック。


「アイスバーグさん!おかえりなさい!」
「アイスバーグさん!外板の出来見てくださいよ!」
「ンマー、後で回る」


相変わらず人気者だなぁ。

アイスバーグさんが通ると全員が声をかけ、アイスバーグさんもそれに笑顔で返している。

時々わたしも知っている人もいて、久しぶりだな!と、声をかけてくれた、本当に数人だけどね。

ガレーラカンパニー本社兼アイスバーグさんの自宅の正面入口につくとアイスバーグさんが口を開いた。


「あぁ、そうだ、実はこの夏休み期間バイトを雇ってな、そいつらがまた良い腕なんだ、確か名前と同じ学校だったな…」
「へぇ、そうなんですか!わたしの知っている人なんですか?」
「さぁなぁ、お前の一つ上だからな、知らねェんじゃねェか?」


一つ上かぁ、誰だろう?

アイスバーグさんについて歩きながら、入り口をくぐった。その間、頭の中で3年生達の顔をグルグル流した。
すると聞こえた綺麗な女の人の声。


「おかえりなさいませ、アイスバーグさん、今夜の食事会の準備、完了しました」
「ンマー、さすがだカリファ」
「……」


カリファ……?
いやいや、まさか。

恐る恐る目を向けると……


「あら、あなたは!確かルッチと「あぁぁ!い、言わなくていいです!」
「ンマー、知り合いか?」
「ちょっとね」


やっぱり…、カリファさんだったなんて…。


「カリファはおれの秘書だ、ンマー、今はバイトだがな、優秀だぞ」
「恐れ入ります」
「そうなんですか…」


高校生でアイスバーグさんの秘書を出来るなんて…、凄い凄すぎる…!
アイスバーグさん、市長だよ!?社長だよ!?最強だよ!?

普通の人の何倍も忙しいのに…!


「高校を卒業したらこの近くの大学に通うそうだ、だから来年からは正式におれの秘書になる」
「よろしくお願いしますね、名前さん」
「よ、よろしくお願いします」


ニコッと微笑み掛けてくれるカリファさん。
美しい…。まさに美人秘書だね。



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