プップー
「ふあぁぁ〜」
バスから降りいつも通り学校へ向かっていた。バス停から学校までは10分くらいの距離、今日はいつもより一本早いバスに乗れたからのんびり行こうかなんて思いながら通学路を歩いていた。
その時、後ろからしたチリンチリンという音に振り返れば名前ー!と手を振るエースの姿が、今日はエースも早いんだなぁと思いつつもおはようと言えばいつもの笑顔が返って来た。
「一緒に行こうぜ」
自転車から降りわたしの隣へ並ぶと自転車を押しながら歩き出す。
「もうすぐ体育祭だな」
「そうだね〜」
実は後1週間後に迫っている体育祭、わたしを含めたくさんの人がそれに向け準備を進めている。体育委員なんてしょっちゅう集まりがあってもうたいへん。
「優勝できるかなぁ」
「するに決まってんだろ!負けてたまるか」
「ふふ、そうだね!」
ニッと力強い笑みを見せてくれたエースにあたしも返しながら思う。年中暑苦しいこの男、エースは体育祭になるとさらに暑苦しさが倍増しメラメラ燃えるのだった。
と、エースが首の裏に手をやりあー。とかうー。とか言い出し始めた。どうしたの?と聞くとあのさ、と少し伺うように話し始めた。
「体育祭の日って食堂開いてねェよな?」
『あー、たぶん開いてないとおもう』
毎年体育祭の日はクーラーの効いている食堂に逃げ込む生徒が出ないよう封鎖されるのだ。そのため普段食堂で済ませている生徒もその日はお弁当持参するのが伝統だとかわけの分からないこと言ってたな…青雉。
エースは、その普段食堂で済ませている生徒なんだけど…
「もしかして…作る人いない。とか?」
「あ、あぁ……」
エースの話によれば中学の間はガープ先生が作ってくれていて、去年はお母さんが帰って来ていたので作ってもらったそう。今年はそのお母さんは帰って来ないしガープ先生は教員なので弁当が配布されるし準備があってエースよりもはに家を出てしまうんだそう。つまりエースとルフィくんのお昼を作る人がいないらしい…。
「それならわたし作ってあげよっか?」
「まじ?」
エースの顔がパァっと明るくなりガシリと肩を掴まれ、エースが手を離したもんだから自転車はガシャン!と音を立てて倒れた。その音にびっくりして慌てて元に戻してたけど。
自転車を起こしたエースはほんとにいいのか?とまた顔をキラキラ光らせる。
「うん。その日は自分で作るしいいよ。味は保証できないけど」
「いや、すっげぇ嬉しい!名前の料理うめぇしルフィも喜ぶぜ!」
前に泊まった時のことを褒めまくってくれてわたしも満更でもなくなってきた。
2人に喜んでもらえるように頑張らないと。
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