「よく食べるねー、ルフィくん」
「ふぁっ?」



そんな細い体のどこに入るんだという勢いで食べ物はルフィくんの体に消えてゆく、ルフィくんはゴクンッ!と口のものを飲み込むとニッ!と笑った



「これくらい朝飯前だッ!」
「昼飯食いながらそれ言うのかよ!!」



スパンッ!と音の出そうなスピードで突っ込むウソップくん、するとナミちゃんがハァ…。とため息を吐き出した。



「人の家に来ても挨拶代わりに冷蔵庫見るような奴だから、名前も気をつけた方がいいわよ」
「だからこないだうちの冷蔵庫空になってたのね!」



すごっ…!と思わず声が溢れる。
一体彼のお腹にはどれだけのものが入るんだろうか…



ピロリン♪♪




「名前鳴ってるよ」
「あ、ほんとだ」


ノジコが教えてくれて確認してみると確かに点滅しているケータイ、マナーモードにするの忘れてた。午前の授業中に鳴らなくて良かったなぁ。と思いながらケータイを開くと、そこには久しぶりに見る名前があった。


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シャンクス先輩
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名前みっけっ

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文面が意外すぎてぷっと吹くも、すぐに周りを見回した。


「それらしい人いないけどなぁ……」


食堂がすごく混んでて周りが見えにくいけれど、あんなにも真っ赤な髪の毛だときっと目立つ気がするのになかなか見つからない。

あ!あの人かな……?自動販売機の前でジュースを買おうとしている人なんだけど…、いつもより、なんかツンツン…?その時その彼が振り返った。

ギロッ


怖ッ!!
何あの人、目つき恐いよ!!口恐いよ!!
いかにもヤンキーって感じだ…。

ツンツンの彼は目が合うとニヤッと笑ってマスクの方と歩いて行ってしまった。


「同じ赤でも全然違う……」


その時肩から首にかけて何かが巻きつけられ、思わずギャッと声をあげてしまった。すると、背後から、見つけるのおせェよ〜。と声がした。


「シャッ!シャンクス先輩!!」
「ふぉぉ!!ふぁんふふふぁふへぇ〜は!」


わたしの首に回した腕は離さず顔だけルフィくんへ向けると、ルフィか!と嬉しそうに声をあげた。


「はひふぁっへんは?」
「ん?飲み込んでから話せ」
「ちょっと先輩離し…「やだ!」


腕を離そうと手を添えると、それごと更に抑えられた。


「くっ…くるっ…し…」
「シャンクスだけずりィ!おれもー!!」

ギューッ!!

「おわっ!おいルフィ!」
「ぐっ……ぐっ…」
「名前良い匂いだなぁ〜!」


シャンクス先輩だけに止まらずルフィくんまで腕をぐるぐると巻きつけてきた。
あー、頭がぐるぐるする。それに良い匂いってルフィくんで言うと食べ物かな…、なんかやだ…。


「ぐっ…ぐるしぃ…!!」


「おい!!何野郎2人が美しい名前ちゅわんに抱きついてんだ!!さぁ!名前ちゅわん!今すぐおれの胸に……ブッ!!」
「あんたは黙ってなさい」
「ぎゃー!!ナミが怒ってるぞー!!」






「いい加減にしなさいよ2人とも名前が…」
「し……しぬ……」


ノジコやみんなが言ってくれても全然離れてくれないお2人。わたしの限界はとうに越えてしまっている。あぁ、もうこのまま潰される……。


「あ!エースだ!ほらルフィ兄ちゃんいるぞ!」


食堂の入口にサッチ先輩とベン先輩と一緒にいるエースの姿を見つけたらしいウソップくんが言ってくれた。のだけど、いつものブラコンぶりはどうしたのか。


「今はエースより名前だッ」


と、ルフィくんは更に力を強めたのだ。わたしは声にならない叫びを上げた。


わたしのの目の前にはシャンクス先輩の赤い髪と、ルフィくんの黒髪でいっぱいで、姿は見えないけれどお前ら久しぶりだな!とエースの声が聞こえた。


「お頭、あんたこんな所にいたのか」


そんなベン先輩の声も。


「ほら名前、火拳来たわよ」
「エ"ッ…エ"ーズ…!!だずげで…」


力の限り手を伸ばしエースに助けを求めると、名前ッ!?と驚いた声が返って来た。


「ルフィ!何してんだ!!」

ドゴッ!

「いっでェー!!!」


と少し締め付けが軽くなったと思ったら、あんたもいい加減離れろとベン先輩がシャンクス先輩を引き剥がしてくれてわたしは完全に解放された。


「名前ーー」


そんな叫びを上げながら、シャンクス先輩がズルズルと食堂から引きずられて行ってしまうのを、わたしは苦笑いで見送った。


「ケホッケホッ…」


長い締め付けから途端に解放されたせいで咳き込むわたしの背中をエースは摩ってくれて大丈夫か?と顔を覗き込んでくれた。


「ハァ…ハァ…。う、うん…ありがと」

「痛ェよエース!」
「馬鹿かお前は!!名前のこと殺す気かよ!」


だからいつも言ってるだろ…、〜〜〜〜〜〜!〜〜〜〜〜〜!!


説教が始まり、エースに怒られるルフィくんの肩はしゅん。と下がっていってしまった。いつもあんなに元気なのに、なんだか不憫に思えてきた。


「エース…もう大丈夫だから。許してあげて?」
「……名前が良いならいいけど…」


「「「ガクッ!!」」」
さっきの勢いはどこ行ったんだ…!!



「もうチャイム鳴るしおれ達そろそろ行くか。じゃあなサッチ」
「お、じゃあおれも戻るわ」
「名前歩けるか?」
「うん」


そう言うとエースはわたしの荷物と手を掴みじゃあな〜。歩き始めた。











「あれで付き合ってないんだから不思議よね」
「え!マジかよ!付き合ってると思ってたぜ…」
「なんでかよく間違えられるって言ってたわよあの子」
「普通にそう思うだろ…」

「でもエースは名前の事好きだぞ」
「うんうん」

「「そうなの(か)!?」」

「ずっと前からだぞ、えーっと…」
「でも、自覚したのは最近ね名前モテ始めたから」
「エースも馬鹿ね、敵が増える前に動かなきゃ」


















「名前、本当に大丈夫か?」



手を引かれながらついてくる名前に顔を向け聞くと、予想外にも苦笑いが向けられた。


「エース心配しすぎ。大丈夫だよ、死にかけたけど…」
「嫌ならちゃんと言わねェと、ルフィは人の気持ちとか考えねェやつだから…」


弟が悪かったな。と言えば、いえいえ、お兄さんこそありがとう。と言われた。お兄さんか、そんなのあんま言われねェし、変な感じだ。

ルフィには説教しておいてなんだけど、名前に思いっきり抱きつける純粋さは羨ましいものがあった。


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