「嫌よ」
「ノジコ〜!」



パチン!と手を合わせてお願いっ!と頭を下げる。

見ての通り交渉中。なんのかというと、今日のHRで体育祭の出場種目決めるんだけど、わたしはとてもじゃないけど指揮るというかクラスを纏める的な仕事が得意ではない…。

ということで



「お願いっ!みんなノジコの言う通り動くじゃん」
「そのあたしがタダで動くと思う?」
「ぅ…」



ノジコのもっともな言葉に思わず確かに…と押し黙ってしまう



「ジュース奢る!」
「うーん…」



それでも必死に自分の知恵を絞り出す。



「ジュース二本!」
「そんなにいらないわよ」
「じゃあ……お昼奢る!」
「みかんゼリーもね」
「えー!!…うん……」
「任せなさい」



やっと了承してくれたノジコにホッと胸を撫で下ろしていると、タイミングよくチャイムが鳴った。

慌てて席に戻るとガラガラッと扉が開き、ボリボリと頭を掻きながら青雉が入って来た。



「はーい座って〜」



みんな座ってるよ、とりあえずアイマスク外して…。



「えー、今日は……あ、そうそう体育祭の出場種目決めるんだ、名前ちゃんよろしく〜」



相変わらずの間延びした適当な言葉を言い放ち、チラとアイマスクからわたしを見てから、また眠りに入ってしまった。わたしもノジコ行くよっ!と言い前へ出た。



「えー……今から体育祭の出場種目の説明してくので、何に出るか考えておいて下さい。まず……」



みんなちゃんと聞いているのかよく分からないような反応、先生ってこんな気持ちなんだな…、聞いてもらえていないと少し悲しい。これからは寝ないように頑張ろう…。なんて思いながら説明をしていくと、ノジコが黒板に書いて行ってくれて、作業がスムーズに進んだ。



「例年通りレインボーリレーの得点が一番高いです」



これで説明は終わり。ノジコも全部書き終わったみたい。



「じゃあ出たい種目に手を挙げてください、まず、男女混合リレー」
「「「………」」」
「えーっと、男子200m!」
「「「………」」」
「……。障害物競走」
「「「………」」」



嘘でしょ。誰も手挙げてくれない…!!
どうしようかと青雉の方を見てみるが、アイマスクをつけ睡眠中だった。

その時

「あんた達……、さっさと手ェ挙げないとあたしが勝手に決めるけど……」



いい?とノジコ



「おれ200m!!」
「わたし障害物!!」
「私も障害物競走!」



ポンポンと手が挙がり、あっと言う間に決まっていった。いやぁ…ノジコ恐るべし…!!



「最後に余ったのはやっぱ長距離か…」
「そうねぇ…、もうみんな一種目は決まったみたいだし」
「長距離はやっぱ体力のある人だよね」
「体力が有り余ってる人」



うんうんと頷き、自然と全員の視線が1人集まる…



「おれッ!?」
「エースしかいない」
「おれ無理。レインボーリレーに体力残しとかねェと、マルコも出るっつてたし絶対勝ってやるから安心しろ」



なっ!とキッパリ言い放ったエースにえ〜。と声が出る



「仕方ないわねぇ…じゃあ名前ね」
「え!?な、なななななななんでっ!?」
「だって誰もする人いないし、ここは体育委員のあんたが…」
「む!無理だよっ!わたしが運動オンチなの知ってるでしょ!!」



今にも泣きそうなわたしを見て、少しニヤリと笑い、だったら火拳に頼べば?とノジコ

もうわたしは縋る思いでエースを見つめた。



「え、えーすっ…!!」
「…ッ!」



少し視線を外されたが、あーもう!!と立ち上がり頭をポリポリ掻きながら出りゃいいんだろ!と叫んだ。

それにパチパチと各所から拍手が、わたしも溢れかけた涙を拭いて拍手を送った。



「ほんっとうにありがとう!」



「フフ…、チョロいわ…」



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