蒸し蒸しとした空気が充満した体育館に集められ、只今全校集会中です。

ただでさえ暑いのにわたしの前にはエースという歩くカイロまでいる。パタパタと手で仰いでみるが生ぬるい風しかやって来ないし…

早くここから出たい〜!こんななら外ですればいいじゃん!!外も暑いけど、こんな密室に閉じ込めなくても!!



理事長であるセンゴク先生の長いお話が終わり、校長先生であるガープ先生がマイクを片手に舞台へ上がった。



「ついに!今年一年間の生徒会メンバーが決まったぞぉぉい!!」



テンション高く大きな声で叫んだが、誰も反応しないことに腹を立てたのか、ルフィ!盛り上げんか!!と無茶振り。



「おう!ウソップいけ」
「いや、お前がやれよ!」



とそんな会話が聞こえたが、センゴク先生の早くせんか!の声にえー!とガープ先生は渋々といった感じでマイクを握り直した。

一つ言いたい、あなたの長い話のせいで時間がおしてるんだよ!センゴク先生!!



「じゃあお前ら上がって来い」



ガープ先生の言葉に上がって来た7名の生徒会員、壇上に立った7人はぺこりとお辞儀をした。



「そういうわけで今年の生徒会メンバーはこの7人じゃ、会長は3Gのロブ・ルッチ、一年間頼んだぞ!!」



肩に鳩を乗せ帽子を被った人が一歩前に出て辞儀をすると



「「「キャーーー!!!」」」



と悲鳴にも似た黄色い声援があちこちから上がった。カッコいいー!!だのミステリアスで素敵ー!
だの、いろんな声が上がっている。

みんなああいう人が好きなのか…、わたしにはよくわかんないや。


というかそもそも
こんなヤンキー校で生徒会が機能するのか?と聞かれそうなので答えておきますが、それがまぁ一応するんですね。

生徒会に入るメンバーは各学年G組の生徒、G組はあたし達の通うのとは別のコースで特別進学コースと入学段階からかなり頭のレベルが高い優秀なクラス。
わたし達のコースから行けないこともないけど、かなりの努力が必要だとか

7人が壇上から降りるとまたガープ先生が登場



「それから連絡じゃ!今日は各委員会の集まりがあるから忘れんようにの〜!」



それにえぇー!!と各所から声があがった。

わたしもその1人で今日はドラマの再放送があったのに、とひとり落ち込んだ。



集会が終わって、それぞれ自分の教室へ戻って行くとき、わたしもノジコやロビン達と歩いていたんだけど、いきなり名前#ッ!!現れたエースに驚きの声が出た。



「わっ!何!?」
「今日一緒に帰ろうぜ!」



ニッカリといつもの笑みを見せて言ったエースにハァ。とため息が出た。さっきの集会で一体何を聞いてたのよ、あんたは…



「さっきガープ先生言ってたじゃん、わたし今日委員会」
「そうなのか!寝てたから聞いてなかった」



随分静かだなとは思ってたけど寝てたのね…



「うん、まぁそういうわけだから、ごめんね」
「ちぇっ…、そういやお前体育委員だっけ」
「そうそう、マルコ先輩も一緒なんだ」
「ッ!!?」



急に目の色が変わったエース。肩を掴まれ目と目が合わされた、歩が止まり、先を行くノジコたちに名前#?と不思議そうな顔を向けられたけど、エースの耳には聞こえていないよう。



「エース?どうしたの?」
「マルコも体育委員なのか!」



ガクガクと肩を揺さぶられ、それと同時に首も揺れ、う、う、うん!!と咄嗟に返す。と動きは止められた。



「おれ、お前が委員会終わるの待ってる。だから一緒に帰るぞ」
「あ…うん。いいけど、何かあるの?」
「いや……」



特には…。と視線を外して言うエースに首を傾げた。何もないのに一緒に帰ろうなんて、いきなりどうしたんだろう?



「じゃあアイス買ってやる!」
「お!やったぁ!!」
「じゃあおれ教室で待ってるから」
「うん!」















「えー、体育祭まで後2週間に迫ってるわけだが…」



それぞれ、配られた冊子に目を通しながら教卓の前で話すスモーカーの話を聞く



「何も決まっていない」



ガクッ



いや、うん。
あんたが顧問なんだから、あんたが何かしないと誰も動かないよ…!!



「まず…組み分けは今まで通り」



ウチの学校では各学年G組までの7クラス、組み分けはA組から虹の色順になっている。

Aー赤
Bー橙
Cー黄
Dー緑
Eー青
Fー藍
Gー紫


ざっとこんな感じ、わたしはA組だから赤組



「今から高速で種目説明していくからしっかりメモ取れよ〜」



その言葉にみんな、え!?と顔を上げた。それをスモーカーは気にも止めず、眈々と種目の説明を始めだし、それに慌てて筆箱を開ける音や、貸してくれ!なんて声が聞こえ始めた。

うー、筆箱鞄の奥にしまったのに…出すの面倒臭い…

渋々といった感じで机横に置いていた鞄のチャックに手を掛けた時、視界に黒色のペンが映った。
え?と顔を上げるとフッと笑ったマルコ先輩



「使えよい」
「え、良いんですか?」
「どうせ、出すの面倒だとか思ったろい?」



う"。バレておりましたか。
ニヤッと笑ったマルコ先輩から、ありがとうございます。と受けとり随分進んでしまったスモーカーの話のメモに取り掛かった。


















「で、最後がレインボーリレー。知ってると思うが、学年混合でこれが一番得点数が高いからな」



1時間弱、長々と色んな種目について聞かされ時計を見るともう5時半

もうエースも帰っちゃったかな…?



「次のLHRで各クラス出場種目決めとけよ。じゃあ解散」



その一言にみんなぞろぞろと帰って行く。わたしは、ありがとうございました。とマルコ先輩に借りたペンをお返しした。



「じゃあ帰るかよい」
「あ、すみません。今日は…」



ガラガラガラッ!!



断ろうとした時、突如開いた扉にその場にいた何人かの視線が向いた。



「名前ッ!!」



勢いよく入って来たエースに、ただ呆然とエース。と声が出ただけだった。
エースはホッとしたような顔をするとわたしの肩に手を置いた。



「よかった、帰っちまったかと思った」



ふぅー、と息を吐き出したエースは、わたしの後ろに立つマルコ先輩を見てキッと目を鋭くした。



「名前はおれと帰るんだからな!」



わたしの腕を掴んで少し引き寄せるとギギギとマルコ先輩を睨む。そんなエースにマルコ先輩はハァ。とため息を吐くと



「分かったから、早く行けよい」



なんて少し呆れて送り出してくれた。














エースの自転車の後部座席に乗ってエースのお腹に手を回した。

少し、寒いな。昼間はあんなに暑かったのに。それでもやっぱりエースの体温って高いんだな。回した手からじわじわ温もって来る……って



「熱ッ!!」



体温大丈夫!?ってくらい熱くなっているエースの身体



「あ、あああ、当たってる……!!名前…!む、むむ、胸が…!!」



バシンッ!!



エースの背中に思いっきり平手を叩きつけてやった。



「痛ェッ!!」

「サイテー」



胸が当たって体温高くなるってどんな身体してんの、ただの変態じゃんか!

今は寒いしアイスいらないかななんて思ったけど、ハーゲンダッペ奢れー!!



「そんな怒るなよ、ないより良いじゃねェか」
「うるさいなー」
「お、もう着くぞ」



コンビニに到着し、自転車を飛び降りるとすぐに走ってハーゲンダッペを押し付けてやった。しかも二個。



「しかもどっちもイチゴって…」
「いいの!」



買え!!と念力を送ると自分のカリカリくんとともにレジへ持って行ったエース

ん、よろしい。






「んー!美味しい!!」
「あーぁ、おれ何も悪くないのに」
「わたしの胸は高いのよ」
「ハーゲンダッペたったの二個分じゃねェか」



う…、確かに…。



「あ、この間泊めてくれてありがとな」



ベンチに座ったまま、カリカリくんの棒を手に持って頭を下げたエースに、こちらこそ。と返す。



「んでよ!日曜にサボと会ったんだ」
「サボッ!?懐かしい…!!」



サボとは卒業以来会っていない、進学校に進んじゃったし、忙しいかなと思って連絡出来ずにいたんだよね…。



「またさ、夏休みに遊ぼうってさ!」
「そっか!楽しみ!」
「じゃ、はやくそれ食っちまえよ、帰るぞ」
「うん!」


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