テストが始まってもエースは学校には来なかった。

ノジコには少しエースに時間をやれって言われたけど、一体いつまで待てばいいんだろう…。


「明日でテストも終りだな、後少しがんばれよい」
「はい……」
「……少し休むか?」


頭に手を乗せて心配そうに覗き込んでくるマルコ先輩にわたしは首を横に振った。

……先輩は、いつも通りにエースと会ってるのかな…?

エースも、わたしの前以外では、楽しそうに笑ってるのかな……。


「先輩は…エースに会ってますか…?」
「エースに?」


涙を堪えて頷けば、マルコ先輩は少し視線を外して考えるような仕草をした。


「おれは会ってねェよい…サッチは会ったみてぇだが、相当疲れた顔してたらしいよい」
「そっ…か…」
「エースとなんかあったか?」
「……ううん、最近学校来てないから…」
「……そうか、だったらもう泣くな」


マルコ先輩の親指がわたしの目元をすくった。

あぁ…また、泣いてたんだ…。


「そんなに…エースが心配か…」
「……え?」


頭を向けると、先輩の悲しそうな表情が見えて、それが近付いてきていた。

キス、される…。

わたし達は恋人なんだ…することに抵抗はない……。

でも…


「ごめんなさい…」


ピタ…。とマルコ先輩の動きが止まった。


「今は…そういうことできない……」
「そうか…」


その瞬間ぐしゃぐしゃッと髪を撫でられた。


「テスト終わったらどこ行くか考えとけよい」
「…うん」


いつも通りの先輩の笑みにわたしも返す。するとまた、頭に手が降ってきた。


「ほら、あと少しだ」


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