解かれてく 2/2
昼休みD組の教室へ行けばエースとあの子が向かい合ってお弁当を食べている姿を見てしまい思わず視線を逸らしてそのまま通りすぎてしまう。
「今日もダメだった……」
「名前、どうしてあたしが休んでる日に限っておもしろいことが起きててあたしが出てきたら何も行動しないの!」
「いたっ!」
ビタッとノジコの長い指を額ではじかれる。額を抑えて痛みに耐えていると、全く。とノジコの呆れた溜息が吐き出された。
「だいたいなんで学校で話そうとするの?家でもいいじゃない隣同士でしょ」
「それは…」
確かにノジコの言う通り家でならいつでも会いに行ける。エースと二人で話すのも簡単だろう。だけど、それもまた幼なじみの特権を使ってるだけに過ぎない。周りの女の子たちからすればズルいことだ。
「いいの。学校で正々堂々勝負するの」
「勝負ってあんた」
もう昼休みも終わりに近い、ふとグラウンドの方を見ると午後の授業が体育であろう生徒たちが体操着で談笑しているのが見えた。
よく見るとその中にはエースもいる。
だけど、その表情はなんだか変。
険しいというか、何かを決したような。そんな表情。
エースは視線を動かさず何かに向かって歩いていく。その先を追ってみて後悔した。
あの子だ。
女の子のグループで集まっているようだけど、間違いなくエースはあの子を見ている。そして近づいて行った。
エースが声を掛けるとその子は驚いたように頷く。
そして、二人でどこかへ歩き出す。
キーンコーンカーンコーン
昼休み終了のチャイムが鳴った。だけど、わたしはその二人から視線を外せない。
「名前!次の授業始まるわよ!さ!席戻って!」
「う、うん」
ノジコの声で我に返る。慌ててお弁当を片し、自分の席へ戻る。
もう一度窓の外を見てみたけれど、もう二人の姿は見ることが出来なかった。
あれは、間違いなく男の子のカオだった。
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