2人の関係  2/2

チャイムが鳴り、4限目終了と共に昼休みの開始を知らせた。
わたしはいつもお弁当箱を持って後ろの席のノジコのもとへ行く。
前の席の子に椅子を借りてノジコと向かい合いお弁当箱を開いた。


「やっぱり平日は時間が経つのが遅いわ」
「またその話?」
「当然!これは学生にとっての最難課題よ!」
「そんなこと考えてる間に学生終わっちゃうよ」
「それもそうね」


あっという間に結論に達したらしいノジコが可笑しくてぷっと吹き出してしまい、お互いに笑いあった。



昼休みが15分ほど経った頃、教室にエースがやって来た。それにより少し周囲がザワつく。エースの手には今朝貸した古典の教科書があった。


「悪い名前、助かった」
「あはは、いいよ」
「それと、今日の弁当もうまかった」


エースから教科書を受け取りそのまま膝の上に置き顔を上げると、「ありがとな」とエースがわたしの頭に手を乗せた。太陽のように笑うエースの笑顔に不覚にもキュンとしてしまう。その笑顔で一体何人の女の子の心を掴んできたのだろう。

当然のようにクラスの女の子たちからの視線が鋭いものに変わる。

こんなのは昔からで、慣れている。エースはモテるから。幼なじみという立場でエースと近いわたしが邪魔なんだろう。

いい気はしないけれどエースの笑顔を見ればとても安心した。


すぐに帰ってしまうものかと思ったけれど、エースはまだ戻らないらしく近くの椅子を引き寄せわたし達の近くに座った。


「あんた、幸せ者ね、こんなに凝ったお弁当毎日食べられて」
「おう、すっげぇ美味いぞ!」
「そんな、普通だよ」
「ベルメールさんのに負けずとも劣らずね」
「いや!お前んとこのにも勝ってるな!それに名前はもっと自信持てって」
「え、えぇっ…、ありがとう」


ちょっと!それどういう意味よ!とノジコがエースに返しているけど、わたしはこんなにも褒めてもらえるなんて思ってなくてただただたじろぐ。

その時、教室の外からエースを呼ぶ声がした。見ると他のクラスの子だろうか、わたしは見たことがない女の子がいた。


「次の時間教室移動になったんだって、エースくんも急いだ方がいいよ」
「おぉ、まじか!サンキューな!」


エースは慌てて立ち上がると、椅子を元の場所に戻し、じゃあな。と教室を出て行った。
その子はエースに微笑みかけると2人並んで戻って行ったようだった。


「あの子、名前のことすごく見てたわね」
「え、そう?綺麗な子だったな」
「ボヤボヤしてると取られちゃうわよ」
「だから、エースとはそんなんじゃないってば」
「お弁当まで作って何言ってんだか」
「それもついでなんだって」


わたしがエースのお弁当も作るようになったのは中学に入ってから、エースのお母さんが朝早くに出かけるためお弁当を作る時間がないと聞いて勝手に始めたこと。だけど、ルージュさんにはよく夕飯をご馳走になるし、わたしだけがしてあげているなんて思ったこともないし、ルージュさんだってそんなこと考えてないと思う。


「まったく…、呆れるわ」
「…?」
「もういい」

だからそれは親公認ってことなんじゃないの。

ツンと視線を逸らされた後、ノジコが何か呟いたけれどわたしには聞き取ることが出来なかった。


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