2人の関係  1/2

「名前、おはよ」
「あ、ノジコ、ナミちゃん、おはよう!」


靴を履き替え、そのまま教室を目指していると後ろから声をかけられ、振り返るとノジコとナミちゃんの美人姉妹がいた。
ナミちゃんは一つ下の1年生でノジコとは同じクラス。ノジコと仲良くしているうちにいつのまにかナミちゃんとも仲良くなっていた。つまりこの姉妹も仲良しなのだ。
自然と3人で横並びになって歩いた。


「月曜日って憂鬱よね〜」
「土日だけ時間設定おかしいんじゃないってくらい早く過ぎるわよね」


はぁー。と悩ましげな表情を浮かべるとなりの2人にわたしは苦笑いを送った。

その時、周囲からひそひそと話し声が聞こえた。


「うわ、そろってるのはじめて見た!」
「やっべ、かわいい」


もちろんそれは土日の時間設定について真剣に話している横の2人に向けられているもの。このルックスにスタイル、それなのに2人とも気取った感じは全然なくて、サバサバしているからか学年問わずの人気者だ。こんな美人姉妹の隣を歩いていたのだと思うと途端に身体が縮こまった。
その時ノジコがあれ?とこちらを見たので、不思議に首を傾げた。


「そういえば名前、あんた幼なじみは?」
「あぁ、エースなら友達が来たからそっちと行っちゃったよ」
「あらそうなの」


エースとはクラスが違うから一緒に教室まで行く日もあれば、それぞれ友達と会って別々で行く日もある。今日は偶々別の日だったのだ。


「ねぇ、名前とエースって付き合ってないわよね?」


ノジコを挟んで向こうにいたナミちゃんがひょこっと顔を覗かせて言った。その言葉にはおもわず苦笑いになる。


「付き合ってないよ〜、そんなこと言われたの久しぶりだな」
「ほらね、言ったでしょ」


どうやらこの2人の間でわたしとエースの関係が話題に上がったことがあるらしく、ノジコの言葉にナミちゃんは「わかってたわよ」と返していた。
でもなぜそんな話になったのか首をかしげるわたしの心理を察してくれたのか、ナミちゃんは話してくれた。


「今1年で噂されてるのよね。ほらエースって人気あるじゃない?エースを好きな子が多いんだけど、彼女がいるから。って」
「その相手がわたしってこと?」
「そう」
「だったらその子たちに教えてあげてよ、わたしはただの幼なじみで彼女じゃないよって」


わたしがこう言うとナミちゃんは綺麗な手を顎に添え少し考えるように斜め上を見た。


「そうね、そうするわ」
「うん、エースも人気があるって聞いたら喜ぶと思うよ」
「そうかな?調子にのるんじゃない?」


ナミちゃんの言葉に3人で笑い合うと、ちょうど階段に到着し、学年の違うナミちゃんとは教室のあるフロアが違うので、ここで別れた。




「ね、ナミも言ってたでしょ?ここまで周りに言われてるんだから、いい加減付き合いなさいよ」
「えぇ?」


2人になって階段を上がっていると、ノジコがそんなことを言った。もちろん何の話なのかはわかってる、エースとのことだ。

ノジコからはよくなぜエースと付き合わないのかと問い詰められる。でもなぜって言われたところでお互いにそんな感情はないし、周囲に言われたから付き合うというのも可笑しな話。


「お互いそんな感情がないんだから、ありえないよ」
「そうかしら?ないこともないと思うけど?」
「え?」


その時、名前ー!と誰かに名前を呼ばれ、振り返れば廊下を走ってくるエースが見えた。「どうしたの?」と言えばわたしの前に止まって膝に手をついて息を整える。
そんなに走って来たのかな?

エースは顔を上げるとぱちん!と顔の前で両手を合わせた。


「古典の教科書忘れた!1限目なんだ、貸してくれ!」
「あ、うん」


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