曖昧  1/1

「んんっ…んー……、ん?」

ガサゴソと寝返りを打とうとしたところで、いつもと違う動きにくさと温もりに気が付いた。


「おはよ」
「わっ」


目を開けると満面の笑みのエースが目の前にいてすぐに少し虚ろだった頭が覚醒した。
そうだった。昨日エースが泊まるって言い出したんだった。あんなことがありエースに助けられたわたしはそれを拒否することは出来ずそのまま承諾したのだ。

我が家に布団は父とわたしの2つしかないから幼少期にしていたように同じ布団で寝ることになったのだけど、昔とは違ってお互い成長しているからだろう布団から手足が出てしまっていた。


「やっぱり少しはみ出ちゃうね」
「もっと寄れよ、寒いだろ」


もう起きるからと抜け出そうとするも、今日は日曜だと、エースはわたしを引き寄せた。身体が密着するように寄せられエースの手がわたしの頬に触れた。優しく触れていき、髪を軽く梳かれる。

その手の動きを見つめるエースになぜかドキドキしてわたしもそんなエースを見つめた。

わたしの肌を滑っていたエースの指が唇に触れて軽く擦られる。寝起きで手入れもしていないのにすごく恥ずかしい。そんな風に思ったけれどエースはそこに熱い視線を送っていて、ついにエースの唇が触れた。軽く、感触を楽しむようなキスが続く。

この歳にもなって男女が同じ布団で寝るなんて普通じゃないと思う。だけどわたしたちは幼馴染で、なかでも特に仲が良い方。だから、普通じゃなくても特別なのだ。
そう思ってるわたしでも、恋人でないわたしたちがキスをするのはおかしいと思っている。……なのに、あまりにもドキドキが止まらなくて、流されるままエースのキスを受け入れた。


「…っん、…もう起きなきゃ」
「…もうちょっと」

ちゅっ

「…んっ…でも…」
「なんだよ、嫌か?」


エースの熱い視線とぶつかって、すぐに逸らす。


「……嫌では…ない…けど…」


そう、嫌ではないのだ。この間突然奪われたファーストキスについても、驚きはしたけどエース以外の人とキスをするイメージもつかなかった。


「…んっ…名前…」


わたしの返答を聞いたエースはいっそう嬉しそうに笑うと、今度は激しく舌を絡めてきた。


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