船員達に指示を出し船をジンベエと火拳のいる無人島へと向かわせた。


一段落着いた所でオヤジの部屋へ戻るとオヤジに呼ばれ、そこで見た光景に思わず頬が緩んだ。



「マルコ、お前ェこいつを部屋に連れてってやってくれ」
「寝ちまったのかよい」



優しく微笑むオヤジの視線の先には椅子に座りベッドにうつ伏せて寝ている名前の姿。



「話してる内に船漕ぎ始めてな、グララ…」
「そうかい」



すぐに名前を抱き上げた。
親父に片手を上げて、この子の部屋へと向かう。


途中、身を捩ったり、んー。と声を漏らしたり、それでも起きないこの子の頭を触った。


ギュッ…


おれのシャツを握り、ふ。と安心したように笑う姿には思わず口元が上がってしまった。











名前の部屋は相変わらずシンプルで、本棚には航海術の本がギッシリと入っていて、整理整頓がきちんとされていた。


その中央にあるベッドに寝かしつけ、軽めの布団をかけた。
おれは、近くの椅子を引き寄せ腰掛けた。


手を伸ばして頭を撫でてやると微かに笑う。


10年で心も身体も成長しても寝顔は変わんねェよい…。



部屋にある机の上には開きっぱなしの本とノート。おれが教えたことがきっちり書かれていた。


頑張りすぎだよい…。オヤジと話してるうちに眠っちまうなんて相当疲れが溜まってたんだろい…。


最後に顔に掛かった髪をどけてやり、部屋を後にした。


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