「だから!ここはおれが座んだって言ってんだろ!」
「おれの方がエースさんより早かったです!」
「だぁー!おれのが早かったよ!」
目の前で繰り広げられるエースとキトの口喧嘩。分かると思うが…名前の隣の席にどっちが座るかで争ってんだ。
ついさっき、2人同んなじタイミングで食堂に入って来たと思ったら押し合いへし合い、またまた同んなじタイミングで名前の隣の席に辿り着いた。そっからずっとこうだ…。
隣のマルコは何食わぬ顔で飯食ってるし…。なんで気になんねェんだろうか…。
ちなみに名前はナース達と出掛けてまだ帰って来てねェ、もうそろそろ帰って来ると思うけど。
「おれの方が早かっただろ!なぁ、サッチ!」
「おれですよね!サッチさん!」
ずいっと2人が身を乗り出して来る。
いや、おれに振るなよ…。ほぼ同時だったし、正直どっちでもいい。
「お腹空いたでしょ?荷物は部屋に置いて来てあげるから、先にご飯食べなさい」
「うん、ありがとうミラノさん」
声が聞こえ食堂の扉が開くと、そこには名前の姿が、歩いてこちらに向かって来る名前を見てさらにエースとキトの口喧嘩が激しくなった。
「ただいま」
「「おっ、おかえり(なさい)!!」」
「真似すんな!」
「真似しないでください!」
また仕様もないことで言い合いを始めた2人に名前は頭にクエスチョンマークを乗せて首を傾げた。
「おぅ!楽しかったか?」
「うん!すっごく!」
「名前、飯だよい」
「うん、ありがとう…!」
ガチャンッ…!
「「!?」」
喧嘩中の2人に視線を戻せばお互いに服やら腕やらを掴み合っていて近くで飯食ってた奴らにまで被害が及んでいた。
「だぁかぁらぁ…お前は向こう行ってろっての…!」
「名前さんだって…おれに隣に来てほしいに決まってます…!!」
ガチャンッ!
「うわっ」
「お前ら……」
隣のマルコから青い炎が見えた気がした。
こりゃやべェ!!そう思ったおれはすぐさま2人の間に入り引きはがした。
「名前!ここ座れ!」
「えっ?う、うん」
名前をおれの正面の席に座らせ、エースを名前の左側、キトを右側に座らせた。
「ほら、これで文句ねェだろ」
悪いが今日はこれで頼む。と言えば名前は首を傾げながらも頷いた。キトとエースは未だに睨み合ってるがまぁ、名前を挟んでりゃそこまでしねェだろ。とおれも安心して自分の席に戻った。
暫くして、やっと本来の目的を思い出したらしいキトが口を開いた
「名前さん、今日は楽しかったですか?」
「うん!やっぱり良い島だね」
「なんか買ったのか?何買ったんだ?」
会話に割り込んでいったエースにキトが顔を顰めた。
「洋服とかいろいろかなぁ」
「そっか!また見せてくれよ」
「うん、また今度ね」
エースがさりげなく次の約束をしていて、焦ったらしいキトが名前のシュシュに目を付けた。だが、それは自滅だってことにキトはまだ気づかない。
「名前さんシュシュ可愛いですね、よく似合ってます!」
「ほんと?嬉しい!これね、エースが買ってくれたの」
大事そうにシュシュに触れる名前を見てキトは明らかにやっちまったという顔をした。
「名前がずっと見てたからなー、気に入ったんだなって思ってよ」
「うん、ありがとうエース」
「へへっ」
名前の頭をガシガシ撫でるエースとそれに微笑む名前はいつもの2人で、やっぱお似合いだなって思っちまった。キトには悪いけど。
思った通り、キトは苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
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