「名前!飯行こう!」
ナース室の扉をバンッ!と開けば、ナース達の鋭い視線が飛んで来た。
「エース隊長!ノックくらいして下さい!」
「へへっ、悪ィ悪ィ」
ハァ。と大きなため息を吐きつつも、名前を呼びに行ってくれたナース。
暫くすると、奥からミラノと名前が出てきた。
「どうしたの?エース」
「もう昼飯だぜ!」
「わざわざお迎えですって、良かったわねぇ、名前」
「あ、え、うん」
おれをからかうような口ぶりで話すミラノを睨むが、おっそろしい笑みが返ってきた。
そういや、ミラノってめちゃくちゃ怖いんだった…。
「名前、い、行こうぜ…!」
「うん、ありがとうごさいました」
ナース達にお辞儀をする名前の右手をとってナース室を出た。
今日のお昼はなんだろうね?なんて言いながら隣を歩く名前に頬が緩む。
名前が2番隊の隊長補佐になってからおれと名前は一日のほとんどを一緒に過ごすようになった。つっても必要以上にくっ付いてんのはおれの方だけど…
マルコに頼まれたしな、名前を守るのが今のおれの役目!!
今日は火傷のことでナース室にに呼ばれたらしくて、朝飯以来の再会、名前がいない午前中は暇で暇で仕方がなかった。そんなおれの気も知らずに名前はニコニコと話し始めた。
「ミラノさんに髪結ってもらっちゃった」
そう言って恥ずかしそうに髪を触る名前の髪をよく見れば、確かにいつもは下ろしてある髪がサイドで纏められていた。
「編み込みっていうんだって、凄いよね」
「へェ〜」
じーっと名前の髪を見つめ触れてみると、ただサイドに括ってあるだけじゃなく、おれにはよくわかんねェけどクネクネ複雑に編まれていた。
ミラノすげェ。
それでも不安そうに髪を触る名前に笑顔を見せた。
「似合ってる!」
「ほんと?うれしい!」
パァッと明るくさせた名前の顔が少し赤くなった気がするのはおれの気のせいではないと思う。
幸せだなぁと思う。名前の傍に居られることが、こんなにも楽しいなんて思わなかった。
薄々気付いていたことだけど、自分の気持ちを改めて認識した。
仕草や癖なんか全部がかわいいと思ってしまう。名前を知れば知るほど好きになっていってるんだ。
島で話してたけど、名前はこの船で一生を過ごす覚悟を決めてる、だからおれはそんな名前をずっと護っていく覚悟を決めた。
「今日の昼飯はな、海王類の肉のステーキだってよ」
「エース好きそうだね」
「おれ嫌いなもんねェぞ」
「それもそっか」
クスクス笑う名前が今度は少しさみしそうな表情を見せておれを見上げた。
「そういえばエース、明日から出るんだっけ?」
「あー、ドーマのとこにな。大丈夫だ、すぐ帰って来る」
なにが大丈夫なんだって話だが、そう言い名前の頭を撫でると安心したように名前も頷いた。
「……早く帰って来てね」
「おう!速攻で帰ってくる!」
そう言うと嬉しそうに頷いた。少しでも寂しいって思ってくれたんならおれはめちゃくちゃ嬉しい。
マルコほどじゃねェけど、おれも名前の中で大きな存在になってきてるかななんて自惚れてみる。
「早く行かねェと肉なくなっちまう!」
「そうだね!急ごう!」
名前の手を引いて少し走りだせば同じように走り出してくれる。
こんな名前をいつまでも見ていたい。名前が寂しいならストライカー飛ばしてすぐに帰ってきてやる!
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