辺りも薄暗くなり、エースと船に戻って来てわたしは、すぐにマルコの部屋に向かった。



コンコンッ



「誰だ?」
「わたし、名前………です」
「…入れ」



ガチャ……



緊張とか不安とかが色々入り混じって、ゆっくりゆっくり、扉を開ける。
中ではマルコがいつも通り机に座って書類に目を通していた。ただ違うのは、いつもならすぐに眼鏡を外して此方を向いてくれるのに、今は書類から視線を外さないこと。

怒ってるかな…。呆れられたかな…。
たくさんの不安を胸に、わたしはマルコの傍まで行き、頭を下げた。



「昨日は…、ごめんなさい。わたし…」
「……」
「わたし、2番隊に行きます」
「……」



何も返事がなく、ゆっくり頭を上げていけば、眼鏡を外して此方を見ているマルコと目が合った。その目はいつも通り優しくて、少し泣きそうになる。



「よく、決断したねい…」



マルコが立ち上がってわたしが見上げる形になる。と、ゆっくり手が伸びてきて頭を撫でてくれた。



「名前…、お前が2番隊に行ったとしても、肩書きが変わるだけだ。おれたちが家族であることにわかりはない」
「うん…」



ポロリ。と少し涙が零れた。すると、マルコが指で拭ってくれ、呆れたような笑い混じりの声で言った。



「泣くほどのことじゃねェだろい」
「だって…」



怒ってると思ってた…。もっと呆れられると思ってたんだもん…。



ギュッ…



マルコに抱きついた。マルコの背中に手を回して服をギュッと掴む。
久々な気かする…。マルコに抱きつくの…。マルコの匂いが鼻いっぱいに広がって安心する。



「どうした、甘えたかい?」



ククッ。マルコの喉が鳴る。
今だけ。と呟いてさらにマルコにしがみつけば、マルコも背中と頭をポンポン叩いてくれた。



「エースを任せた」
「まずは、報告書の書き方だね…」


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