敵が来ねェと暇だなー…


甲板でゴロン。と寝返りをうつ。
最近は秋島の気候も抜けてまたグランドライン特有の不安定な天候になってきていた。だけど、今はポカポカ過ごしやすい気温だ。


目を閉じると風や波の音に混じってたくさんの足音が聞こえる。


みんな忙しそうだなー…。


ゴロン。とまた寝返り。


パタパタパタパタ…


聞こえた足音に薄く目を開く



「よいしょっと…」



腕いっぱいに書類を乗せた名前が船内から甲板へ出てきた。
昼間は相変わらず忙しそうな名前。前まではマルコの仕事も任されてたみてぇで、もっと大変だったみたいだ。ま、今でもおれに比べりゃ忙しそうだがな…。


ついこの間まで、話すチャンスもないくらいで、ほぼ無関係だったおれたち。
でも今じゃ、毎晩甲板で話すのが日課だったりする。
おれは緩む顔を抑え、帽子を被り直し、スクッと立ち上がって名前の元へ向かった。



「名前、それおれが持って…「まーたこんなに一気に持ってんのか、貸せ」



な!!?


おれが辿り着く直前、いきなり名前の手から書類の束を奪ったのはルイト。


またお前か!!
いつもいつもおれの台詞に被せやがって…!!


名前の持つ書類を持ってやろうと上げた手は行き場なく、元へ戻った。



「いつもありがとう」
「おう!マルコ隊長のところだろ?」
「うん」



名前もニッコリ笑い、歩き始める二人。それを見ておれは歯を食いしばる。



「クッ…!」



絶対そうだ…!あいつ!
名前のこと好きなんだろ…!!

下げたままの手で握り拳を作っていると、急に首に腕がかけられた



「よう!末っ子!」
「おわっ!な、なんだよ!」



今日も立派なリーゼントを頭に乗せたサッチはニヤニヤ笑いながら二人の後ろ姿を見た。



「あの二人、お似合いだろ?名前もルイトの事は信頼してるしなー」
「なっ!!?」



ニヤリ。サッチが笑った。



「まー、がんばれ!」



とサッチはおれの肩をバシバシと強く叩いて行ってしまった。
残されたおれはグッと握り拳を握ったまま、二人…いや、ルイトの後ろ姿を見ていた。


なんでか分かんねェ!けど、あー!!ムシャクシャする!!



「敵襲ーー!!」



タイミングが良すぎるその声におれは待ってましたとすぐに飛び出した。



「待てエース!相手はドーマの一団だぞい!さすがに一人は…」



また後ろからマルコが何か言っているが、今のおれには何も耳に入らねェ!!暴れてやる…!!



ダンッ!



「お前がドーマだな?」


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