「ひどい…」


ガルバの仲間達を倒してから暫く歩くと街らしきところへと辿り着いたのだけど…。ほとんどの建物は壊れていて、お店も営業しているようには見えなかった。



「さっきの奴らの仕業か…」
「うん…、誰もいないのかな…?」
「いや…」
「え?」


ガサ…


音がすると、八方から男たちが現れ、すぐに囲まれた。


「お前らか?おれの可愛い部下どもに手出したのは…」


先頭にいるのは、髭を生やし、腰に銃を何本もさしている男、身体はオヤジほどではないけど大きい。


この人だ、手配書で見た。



「ガリバ…」
「ガルバだ!」
「へェ、お前が?」


エースは面白そうに眉を上げ、ガルバを見る。


「ここはおれたちのナワバリだ、上陸料を払わねェのなら、不法侵入だよな?」
「あなた達のナワバリなんかにされて、この島の人たちがかわいそう」


きっと島の人たちを恐怖で支配したんだ。白ひげのナワバリはそんなのじゃない、みんな、白ひげの名で守られて幸せに暮らしてる…!


おもいっきり睨んでやるが、ガルバはニヤリと笑みを深めた。


「へへっ…嬢ちゃん可愛い顔してるじゃねェの、こっちに来いよ、一緒に遊ぼうぜ?」


その時、肩を掴まれると同時にエースの後ろに回され、目の前に現れた背中が炎に包まれた。

わたしは、驚いて一歩後ずさる。

すると、エースの腕が炎に変わった



「火拳ーーー!!」
「「うわぁぁぁーー!!」」


エースの前にいた人たちは炎に包まれながら、遠くまで飛ばされてしまった。


「わっ」


それを呆然と見ていたが急に後ろから腕を引っ張られ、首に冷たいものが当てられた。


「へへへっ、お前、こいつがどうなってもいいのか?」
「!?」


声に驚き顔を上げる、エースもすぐに振り返った。


「なんで…エースにやられたんじゃ…」
「へははははっ、おれのスピードを舐めるなよ?」


そこには舌を出し笑っているガルバがいた。




「へはははっ」
「っ…」


長い蛇のような舌でベロリと頬を舐められ、その気持ち悪さに顔を顰める。


「チッ…」


エースもどうしようかと、顔を歪めガルバを睨んでいる。


「へはは、どうするよ?……ん?」


エースが何も出来ないため、勝ち誇ったような笑みを見せるガルバ。その時でも、わたしは相変わらず水を探していた。


水さえあれば、何かしらの攻撃ができる…!


その時、ガルバがわたしの胸元にあるネックレスに触れた。


「なんだこれ?へははは」
「やだ、触んないで!」


わたしのつけていたネックレスに触れるとまじまじとそれを見たガルバ。そして、顔からタラタラと汗が出てくる。


「し、白ひげのマーク…!?」


まさか。と言うような表情を浮かべ恐る恐ると言ったようにわたしを見た。


「お、おいお前…「ウチの子に何か用かよい!」
「ゲフーーッ!!」


突然の衝撃で、ガルバは大きな声をあげながら遥か遠く飛ばされて行ってしまった。


「あの野郎…!名前何もされなかったかよい?」


ガバッ


さっきまでガルバがいたところに降り立ったマルコに思わず抱きついた。


「なんで飛ばすんだよマルコ!丸焼きにしてやろうと思ってたのに!」


手を炎に変えたままのエースが言う。

その時…



「「わぁーーー!!」」
「ガルバがやられたぞー!!」


この島の人たちらしい人達が一斉に出て来て、次々にわたしたちにお礼を言っていく。


「ありがとうございます!」
「おかげで助かりました!」
「なんとお礼を言ったらよいか…」


わたしは何もしてないけど。
涙を流している人たちもいて、わたしも笑顔になった。


「ねぇマルコ…」
「オヤジから貰ってあるよい」


準備のいいマルコに笑みを漏らすとマルコは前に出た。


「この島は、白ひげの名で守る」
「「し、白ひげ!?」」


さっきまでガルバに支配されていたのに、また海賊のナワバリなんて嫌じゃないかとも思ったけど、白ひげの名前に驚いただけで、嫌な顔一つせず快諾してくれて、とても喜んでくれた。


「どうりで!」
「あんたの顔、見たことあると思ったんだ!」
「この旗を見えるところに立てておけよい」
「ありがとうございます!」


旗を渡すとすぐにわたし達の方へ戻ったマルコは不死鳥と姿を変えた。


「名前乗れ」
「うん」
「おれも!」


マルコの背中に乗ると直ぐに飛び立った。

街の人達のあの様子じゃ長い間ガルバに支配されていたんだろうな…。一刻も早く、復興してほしい…。


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