手はエースのと繋がれたまま、街を目指し歩いた。

エースはわたしに合わせようとしてくれているのか、わたしでも遅いと感じるくらいのゆっくりペース。

気まずいと感じたわけじゃないけれど、なんとなく気になって声をかけた。


「エースも本読むの?」
「いや…あんまり…、読んだことあったっけな…?」


んー。と顎を手で触りながら考えるエースに、ぷっ。とわたしが吹き出した。


「ついて来ても退屈じゃない?」
「それは大丈夫だ!…それより…」
「…?」


エースが突然立ち止まり、後ろを振り向いた。鋭いエースの視線の先を見たけれど、変なものは特になく、わたしの頭にはハテナマークが浮かんだ。


「ずっとおれたちのことつけてるよな」
「えっ!?」


すると木の陰から物騒なものを持った男たちが5人、ニヤニヤと笑みを浮かべながら出てきた。


全然…気付かなかった…。


5人全員がヘラヘラと嫌な笑みを貼り付けこちらへとゆっくり近付く。


「気付かれてたのか…へははっ」
「なんか用か?」


5人…つけられてたってことはモビーから?

もし、わたし1人で出ていたらと思うとゾッとする。

きっとモビーの方にも何人かいるんだろうけど、そっちは大丈夫だと思う。みんなは、そんな簡単にはやられない。


頭の中で納得し目の前の相手を見ると、真ん中に立つ男が口を開いた。


「この島はガルバ海賊団のナワバリなんだよ」
「ガルボ…?聞いたことねェ」
「ガルバ!!ガルバ船長は血も涙もねェ人よ」


ガルバ…。頭の中で手配書を並べ思い出す。


「名前知ってるか?」
「一応、賞金首リストに載ってたかな…」


それを聞いてほら見ろと笑った男に、わたしは眉を顰めて続ける。


「でも…一般人に手を出すから賞金がついただけで、どこかの海賊団を潰したなんて聞いたことない」
「なんだ、ただの弱い者イジメじゃねェか」
「「なっ!!?」」


エースの最もらしい一言にカチンと来たらしい男たちは一斉に武器を構える。

しかし、真ん中にいた男が手を挙げそれを抑えた。


「まぁ、おれたちだって無駄な戦闘はしたくねェわけよ」
「へェ…、で?」


エースの問いに男たちは更に笑みを深めた。


「上陸料一人50万ベリー、あんたら二人、合わせて100万ベリー、今すぐ寄こせば何もしねェよ」
「渡さなかったら?」


エースが言葉を返すと、男たちはわたしを見て上から下まで視線を滑らせる

それに眉を寄せれば、エースは背に隠すようにわたしの手を引いた。


「…その嬢ちゃん貰ってこうかなー」
「ッ!!」
「へはは、可愛がってやるぜ?」
「てめェら…」


わたしは周りを見回した。


どこかに、水、ないかな…。

あいつの顔面引っぱたいてやりたいけど、刃物持ってるから危ないし…正直怖い。

だから、この寒さの中、頭から水ぶっかけてやる…!!


「許さねェ…」
「えっ!」


いつも間にか目の前にあったエースの背中がなく、ガルバの部下達の所へエースはいた。
それから勝負は一瞬。あっという間に5人はまっ黒焦げになり、倒れてしまった。


「二度と名前を視界に入れんじゃねぇ!!」


エースを見ればかなりご立腹のようでフンッ!!と鼻息を吐き出していた。


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