島に到着したと聞き、上着を羽織り、斜めがけバッグに財布などを入れ、部屋を出た。
甲板では、ちょうど梯子が降ろされているところで、近くでその様子を見ていたマルコを見つけてすぐに向かった。
「マルコ、ちょっと行って来るね」
「あぁ、やっぱり一人かい…」
「うん」
マルコはわたしの両肩に手を乗せ、力強い目を向けた。
あ…いつものだ…
「変な奴に声かけられても、ついて行くなよい」
「わかってる」
「もし何かあったらすぐに船に向かって走れよい」
「わかってるってば…」
「水がそばにあれば能力で知らせんのもありだ」
「はいはい…」
島に降りる前に必ずマルコに言われる注意事項。
確かに大事なことだけど…正直、もういい…。
まだ何か言おうとしたマルコを押し切って縄梯子を下りた。
「ふぅー…」
やっぱ久しぶりの陸はいいなぁ…。
「名前ーー!!どこ行くんだ?」
その時、船の上からかけられた声に振り返り顔を上げると、エースが船から笑顔で手をブンブン振っていた。それがなんだかおかしくて、わたしも笑いながら応える
「本屋さんに行こうと思ってるの」
「おれも行く!」
「え?」
船の縁から飛び降りたエースはあっという間にわたしの前に着地。そして、立ち上がるとニッと笑った。
「行こうぜ!」
「うえっ!?」
と少し強引にわたしの手を掴み歩き始めた。
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