「エースの初戦闘と活躍に…」
「「カンパーイ!!」」


戦闘後始まった宴では、エースの活躍に対しての声が多く上がっていた。


「今日はエースおかげでおれたちの圧勝だぜ!」
「敵船の中、財宝ザクザクだったんだろ?」
「すっげぇー!!」


「ふふっ」


わたしも隅っこで船員達の話に耳を傾けながら、サッチ特製のジュースと、料理をチマチマつまんでいた。

マルコはオヤジと飲んでいるみたいだし、二人の邪魔をするのはなんだかよろしくない。だから今夜は一人なのだ。


「名前、飲まねェのか?」


ふと、上から掛かった声に、顔を上げるとジョッキを持ったエースが立っていた。


「うん、潰れちゃうから」
「そっか」


そう言うとわたしの隣にドカッと座ったエース。それを不思議に思い首を傾げる。


「主役がこんなところにいていいの?」
「…あぁ。あいつら、主役がいなくても自分たちが飲めればなんでもいいんだよ」
「ふふっ、たしかに」


いつものことだ、何かと理由を付けて宴に持ち込みたいのが海賊の性だって自分たちで言ってた。

少し不機嫌そうにジョッキに口をつけるエースを見て、わたしもジュースを一口

…と、なぜかエースから視線が


「…なに?」
「いや、何飲んでんのかな、って」
「あぁ、これはサッチ特製のジュース、アルコールは入ってないよ」
「ふーん」


そんな返事をしつつ興味深々にわたしのジョッキを覗くエースに、少し笑ってしまった。


「飲んでみていいよ」
「うぇっ!?お、おぅ…」


ジョッキを向けると、あからさまに驚いたエースは恐る恐るといった感じでわたしのてからジョッキを受け取り、一口ゴクリ。


「…うめぇ!」
「でしょ!」


パァッと笑顔になったエースにわたしの頬も緩んだ。サッチの作ったものが褒められると自分のことのように嬉しい。

そして、また目の前の料理を食べ始めたエース。すると突然ピタッと停止し、こちらを向いた。


「ずっと気になってたんだけどさ…名前って能力者なんだよな」
「え、うん」
「ミズミズって水だろ?」
「うん」


エースの今さらな質問にわたしは料理をツマみながら答えた。


「なんで覇気を使ってないおれの火の粉が当たったんだ?」
「え…?」


火の粉なんてその場にいればみんな当たるでしょ?

不思議に思うわたし同様、不思議そうな顔をしているエース、お互いに見つめ合っているとエースが口を開いた。


「自然系(ロギア)なのに、なんで流さなかったんだ、と思って」
「あぁ…!」


そこでようやく合点がいった。


「わたし自然系じゃないよ!」
「そうなのか!?」


目を開いて驚いているエースにわたしも微笑んだ。


「うん、わたしの能力は水を操れるだけ、自然系じゃないから実体はあるし、攻撃は受け流せないの」


それを聞いて、なるほどな、と納得した様子のエースはツンツンとわたしの腕をつついた。


「でもすげェよ…」
「そうかな?」
「溺れたおれ助けてくれたし、この間も魚引き揚げてた」
「見てたんだ…!」


あの時は大物だ!って大騒ぎで結構な人が集まってたから、エースもいたなんて気が付かなかったな…。

改まって凄いなんて言われると、なんだか照れる…。


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