食堂の椅子に座り、顔をテーブルにくっ付けて、あー、とか、うー、とか唸っているエース。

その前にドンッと皿を置いてやる。


「ほら、お前も食うだろ?サンドイッチ」


顔を動かし目だけでそれをみたエースは、おぅ…、と呟いた。

ま、名前達のために作った分の残りだけどな、手は抜いちゃいねェ。

エースは不機嫌そうにサンドイッチを手に取り、口に入れるとパッと顔を明るくした。


「うめぇっ!」
「はは、だろ?」


さっきの不機嫌さはどこへやら、バクバクとサンドイッチを頬張り始めたエース。そんな風に食ってくれるとおれも作った甲斐があるってもんよ。


「つかお前、今日なんもすることねェのか?」


おれの言葉を聞いて、エースは、パンパンに詰め込んでいた口の中のものをゴクッと一気に飲み込んだ。


「名前と…、なんかしようと思ってたんだけどな…」


ナース達に取られちまった。


そう呟くエースをフッと笑ってしまう。

こいつ…この船には敵が多いぜ?


「うわっ、な、なんだよ!」


エースの頭をぐしゃぐしゃに掻き撫でてやり、最後にポンポンと頭を叩く。


「若いっていいなー」


ほんと羨ましいぜ、もしおれがエースと同じ年代ならさ、絶対名前を好きになってると思う。可愛いし、優しいし。
でもやっぱお兄ちゃんってポジションも捨てられねェのよ。
昔から名前はおれらにあんま頼っちゃくれねェけど…。たまにお願いされるとさ、もうすっげェ嬉しい。


不思議そうにおれを見ながら、サンドイッチを頬張るエースを見て思う。


こんなやつだけどさ。名前が遠慮なく頼れる存在に、エースならなれるんじゃねェかなと思う。
今の名前は、マルコに依存…つうか、マルコが第一って感じだから、マルコ以外にも頼れる奴が出てくればいいと思うわけ。エースはそういう雰囲気というかオーラを持ってんだ。


「うらやましいぜまったく…」
「ん?ふぁんかいっふぁ…(なんか言った…)」


ドゴォォォォッン!!


「「!!?」」


エースがおれに何か聞こうとしたその時、船中に響いた大きな爆発音、船に当たっちゃいねェだろうけど、こりゃ近くに落ちたな。


「敵襲ー!敵襲ー!」


船員の言葉が聞こえ、おれもエースも食堂を飛び出し甲板へ出た。


「あいつらか…」


近くに来ていた船を見ればおそらく同業者。ドクロを掲げているその船は、うちのモビーよりも遥かに小せェ船。でも油断は出来ない、ここ新世界にいるって時点で簡単に倒せるような奴らはいねェからな。

チラと隣にいるエースを見ると、生き生きと目を輝かせ敵の船を見据えていた。良い顔してるな。


「やる気入ってんのな」
「ここきて初めての敵襲だからな、暴れてやるぜ!」


エースは、ニッと笑ったあと、あ。とおれに顔を向けた。


「名前は大丈夫なのか?」
「安心しろい、あそこは船の奥だ。それに船内への扉には人を付けてる、一歩も入れねェよい」


エースの問いに答えたのはどこからともなく現れたマルコ。エースの肩に手を乗せ不敵に笑っていた。


「エース、オヤジが思いっきりやれってよい」
「おう!」


さらに目をギラギラとさせたエースは全身に火を纏いながら敵船に飛び込んで行った。


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