野郎共の朝飯の準備を終えて首をコキコキ鳴らしながらマルコや名前のいる席へ向かった。
おいおい…。
エース何その顔。
思いっきりルイトの事睨んでるじゃん。男の嫉妬は醜いよー。
そういや昨日の夜、甲板で名前と2人で話してたな…。仕込みが終わってたまたま通りかかったら見えただけだ…見えただけ。しっかり盗み聞きはしたけどよ。
おれはマルコとは反対のエースの隣に座り朝食を食べ始めた。
目の前じゃ名前とルイトが楽しそうに話してるが、エースはそれが気に食わねぇみてえだ。
ルイトは顔もいいし、強いし、仕事も出来るしで文句の付け所がねェ完璧男。さらにオヤジを尊敬しまくってる一人だ。
そんでもってルイトのやつは相当名前を気にかけてる。
マルコが親バカならルイトは兄バカ。
まぁ、兄バカなのはおれらもだけどよ。
1番隊でマルコからも信頼の厚い男、名前も年が近いからかだいぶ心を開いてるみたいだし、二人が一緒にいるのはよく見かけることだ。
でも、ルイトと名前に恋愛感情はない。ここ重要。
しかし、まぁ隣の末っ子は見事に勘違いしてるみたいだがな…。
チラと隣のエースを見れば、その瞬間マルコがエースの皿をスッと前にズラした。
あ。
ガゴンッ!
寝てんじゃねェか…
マルコのおかげで朝飯に突っ込まなかったけどよ、テーブルに思いっきりいったな…。
大きな音に一瞬周りの視線が集まるが、みんな、なんだ…という顔をしてすぐ元の状態に戻る。
初めて見たときゃ死んじまったかと思ってみんな焦ってたのにな。おれなんて毒いれた!って騒がれたぜ、入れるわけねェってのに…。元スペードの奴が癖だって教えてくれておれの潔白は証明されたがよ。
たった数週間でよく慣れたもんだな…。
マルコなんて、エースが眠りに落ちるタイミングが分かって来たのか、よくエースの顔が飯だらけになるのを防いでいる。
そんな事を思い出してくくっと笑い、顔を前へ向けると、目をかっ開いてエースを見つめる名前が見えた。
名前は、見るの初めてだったか…?名前の奴、驚きを顔全体で表現してやがる…。
「ぷははっ!」
「サ…サッチ…エースが…」
本気で焦ってる、手延ばしてエースの頭ツンツンって。
エースを挟んでマルコもクツクツ笑ってる。名前の隣にいるルイトも、笑うおれらに名前はますます焦る。
「え、え?…どうしたの?これ…」
「くふふっ!こりゃエースの癖だ」
「くせ…?」
おろおろしてたのが、あり得ないみたいな顔をしてもう一度エースを見る、そしてまたツンツン。
ぐぅー…
聞こえてくるエースのイビキ
「寝てるの…?」
「あぁ」
そう言うと、なんだぁ〜。と名前は強張った身体を緩めた。
「びっくりした…」
起用だね。そう言うと安心したようにまたエースの頭をツンツン。そんでもってクスクス笑ってる。
うん。なんか微笑ましいな。
暫くして、うおっ!?っと勢いよく顔を上げたエース。そして、キョロキョロと首を左右に動かし、状況を把握したのか欠伸をひとつ。
「ふわぁ〜ぁ、寝てた。」
「ほらよ」
「さんきゅっ」
おれが朝飯の乗った皿を前に戻してやると、またすぐにエースはバクバクと食べ始めた。
なんていうか…ほんと、奔放だよな。
マルコなんて、エースが起きたことなんて全く気にせず、興味なさそうに朝食を取り続けている。
「マ、マイペース…」
少し吹き出しそうになりながらエースを見て言った名前がなんだか可愛くておれも笑った。
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