「ふわあぁ〜」


朝、廊下を歩きながら大きな欠伸をする。


昨日はついつい夜更かししちまったな…。名前が戻ってすぐおれも部屋に戻ったけど、なんだか眠れなかった。自分的には、前よりか名前との壁がなくなったようには思う。

少し緩む頬を抑え、朝食を取りに食堂へ入った。



相変わらず騒がしい食堂に耳も慣れ、争奪戦から朝食を確保した。そして食堂の中を見回すと、いつもの席に座る名前の姿を見つけた。いつも通りマルコも向かい側に座り朝食を取っている。


ほんと、ずっとマルコと一緒だよなぁ…。


そんなことを思いつつもおれはすぐに、名前の隣の席へと向かった。



「名前、おは……「おはよ!名前ッ!」



たった今おれが座ろうとした席へとドカッと座った男は爽やかな笑顔を名前に向け、グシャグシャっと名前の髪を撫でた。



「おはよう、ルイトくん」


ルイト……!


ルイトはおれがオヤジの首を狙ってた頃、名前に火傷を負わせた時の喧嘩の相手だ。

ルイトはオヤジを海賊王にさせたいと心から願っている奴で今となっちゃ本当に良い奴。

顔も良くて、何もしなくても女が寄って来るような。

それにあの時は下っ端とか言っちまったが、バッチリ懸賞金のかかった奴だった。

今でもたまに喧嘩はするけど仲が悪いワケじゃない。だけど…

なんでお前が名前の隣に座ってんだよ…!!


「座らねェのかよい?」
「あ、あぁ…」


立ち尽くすおれに、隣を指しながらマルコが言い、仕方なしにそこへ座る。


「あ、エースおはよう」
「おはよ…」


おれに気付いた名前は同じように微笑んで挨拶してくれたけど、ちょっと小さめに返した。


「このあいだラクヨウ隊長と…」


目の前では楽しそうに身振り手振りで話すルイトに、うんうんと笑顔で話を聞いている名前。


おれは挨拶しかしてねェのに。
なんだよルイトの奴!ずっと名前独り占めしやがって…。

今のおれの顔は相当不機嫌だと思う。でもやっぱりおもしろくねェ…。

気を紛らわすように朝食をポイポイ口の中へと放り込んでいった。

おれだって名前と話してェのに…。


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