いつもの様に船の縁に背を預け、座り込み頭を抱えていると、すぐ近くにコトッと音を立て茶碗が置かれた。
何かは分かってるおれへの食い物だ…
チラと茶碗を見た後、少し顔を上げ運んで来たやつを確認する。そいつは、今日帰って来たとかいう1番隊隊長のマルコだった。もう立ち去ろうと背を向けて歩き出したそいつの背中に向け、おれは話かけた。
「なんでお前ら…あいつのこと“オヤジ”って呼んでんだ?」
そいつは振り返り一瞬不思議そうな顔をするが、返事はすぐに返ってきた。
「あの人が…“息子” と呼んでくれるからだ、おれ達ァ世の中じゃ嫌われ者だからよい……嬉しいんだなァ…ただの言葉でも…嬉しいんだ」
その言葉に俯き唇を噛む、すると、そいつが戻って来ておれの前に屈んだのが分かった。
「お前、命拾いしてこんなことまだ続ける気かよい、そろそろ決断しろい!今のお前じゃオヤジの首は取れねェ」
「ッ…!」
「船を降りて出直すか…ここに残って“白ひげ”のマークを背負うか…!!」
それだけ言うとフッと笑い、そいつは盛り上がっている宴の中へ戻って行った。
宴の方を見れば、全員笑顔で…、1番隊隊長も、あの女も、リーゼントも…白ひげも…
家族…なんだ…。
あそこに自分も入れるのだろうか…。家族として、受け入れてくれるのだろうか…
“おれの息子になれ…!!”
「クッ…!」
あの時の白ひげの言葉を思い出し、泣きそうになった。
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