ザッバァーーン!!



「おーい名前ー!」



船中に響く大きな声で名前を呼ばれた。

まただ…


「はーい!」


急いで甲板に出ると、その場にいた船員達が、あそこだあそこ!、と火拳のエースの落ちた方向を指差す。

見ればもう姿は見えず、ブクブクと泡が浮かんできているだけだった。


海に手を翳し動かすと、海の水が溺れていた火拳のエースを持ち上げ、ドサッ!と甲板へ投げ入れる。するとすぐにスペード海賊団の面々が火拳のエースに駆け寄った。



「ゲホッ!ゲホッ!」
「エースさん大丈夫っすか!?」
「誰かタオルもらってこいよ!」
「ほっとけ!」



火拳のエースの眼にシン…。と黙るスペード海賊団の面々。


「…馴染んでんじゃねぇよ」


そう言い捨てると、火拳のエースはすぐに立ち上がり、スタスタとその場を去って行ってしまった。


「エースさん…」


残されたスペード海賊団の船員達はみんな悲しそうな表情をしていた。
その船員達も、結構この船に馴染み始めてはいるんだけど、やっぱり自分達の船長が心配なんだと思う。


わたしもその光景を呆然と見ていると、突然名前を呼ばれた。


「マルコ、どうしたの?」


いつの間にか甲板に来ていたマルコは、ポケットに手を入れながら、わたしの傍にやって来た。



「実はオヤジに頼まれて暫く出かけることになってよい。でもまだ残ってる仕事があってねぇ、他の野郎に頼もうかとも思ったんだがお前以外まともに仕事出来るやつがいねェんだよい、頼めるか?」



マルコの仕事はいつも手伝ってるから大体分かってるし、少しでも助けになるならと思い引き受けた。するとマルコの手が伸びてきて、数回頭を撫でてくれた。



「助かるよい、おれの部屋使っていいからな、頼んだ」
「うん、わかった。気を付けてね」


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