いつのまにか、エースのオヤジ襲撃は毎日の事となっていた。


ザッバァァーーーン



「おい、あいつ落ちたぞ」
「泳げねェくせに」
「誰か助けてやれよ」
「またおれかよー!」



そう言っておれは服を脱ぎ海へと飛び込み、水の中で力なく沈んでいくエースを引っ張り上げた。



「ぷはっ!おーい!誰か梯子降ろしてくれ!」



素早く降ろされた梯子を上ってエースを甲板に放り投げると、すぐにゲホゲホと水を吐き出す。おれも水浸しになったズボンを手早く絞って、崩れたリーゼントを整えた。



「お前何度も落ちるなよなー、毎回助けんのおれだぞ!」
「ゲホッ、…誰も…助けてくれなんて頼んでねェ!」



そう吐き捨てて去って行っちまった。ほんと、人斬りナイフだな…ジンベエの行ってたことが今更分かった気がした。

ジンベエの奴ももっとゆっくりしてけば良かったのにな。
あんまりいると海軍に怪しまれるからって治療が済むとすぐ帰っちまった。



「サッチ、タオル使って」



タオルを持ち笑顔でやって来た名前に自分の頬が緩む。



「サンキューな名前」
「ううん、いつも大変だね」



ほんと可愛いわー…。
その頭をガシガシ撫でると、名前は、わっ。と声を上げるが、お構いなしに更に撫でつけてやると、もー!と声を出した。っとその時すごいことに気が付いたおれ。



「……っつーかさ、名前の能力、水操れるよな…?」
「え?うん」
「だったら名前があいつ助けりゃいいじゃねェか!」
「へ…?」
「そうだそうだ、そうすりゃ毎回おれのリーゼントが崩れる事もねェし!うん!」


あたふたする名前をおいて、1人でそう納得し、彼女の肩に両手を置いた。



「この件はお前に一任する!」



ニッと笑いシャワーを浴びに船内へ向かう。途中、後ろから、ええぇーーー!!と叫び声が聞こえたけど、心ん中で名前にエールを送っておいた。


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