マルコに頼まれていた仕事も一段落着きシャワーを浴びた。



「今日は疲れたからすぐ眠れるかと思ったんだけど、シャワー浴びたら目が冴えちゃったな…」



ココアを飲みながら航海の本でも読もうかと思い、部屋を出て食堂へ向かった。



「サッチ…」
「お、どうした名前?」



厨房から顔を出したサッチはもうシャワーを浴びたのか、リーゼントではなく髪を後ろで纏めていた。



「眠れないからココアでもいれて貰おうと思って…大丈夫?」
「おぅ、いいぜ!ちょっと待ってな」



ニッコリ笑ったサッチは鍋を火にかけ牛乳を温め始めてくれた。



「ごめんね、仕込み中?」
「おぅ、明日の朝飯のな、人数が増えたからちょっとやっとこうと思っただけだ気にすんな」



そう言って微笑んでくれた。わたし的にはリーゼントより、今の方がカッコいいと思うんだけどなぁ。

前に言ってみたけれど、それはサッチのポリシーらしく譲れないんだとか。



「お、温まったみてェだ」



サッチはココアを入れ少し混ぜると手際よくカップに移してくれた。



「ほら、出来た。あんま夜更かしすんなよな?」



差し出されたカップを両手で受け取り、ありがとうとおやすみを言う。サッチからもおやすみと返ってきて食堂を出た。









部屋へ戻る途中、窓から月が出ているのが見え、一度甲板に出てみた。



「きれー…」



昼の海も好きだけど、夜の海も幻想的で好き…。


ドカァァーーン!!



「え…!?」



すぐそこの壁が壊れると同時に人が飛んで行った。

あそこって…
オヤジの部屋!?

駆け寄ってみると、思った通りオヤジの部屋の壁に穴があいていたけれど、オヤジは部屋の中でイビキをかきながら寝ていて、何事もなかったよう。

それには安心して飛んで行った方を見ると、口を抑え目を見開いて、何かに対して驚いている様子の火拳のエースがいた。


「え…、ちょっと、大丈夫?」



血が出てる、手当てしないと。そう思って駆け寄って傷を見ようとするけれど、ギッと睨みつけられた。



「触んな!」
「えっ…」
「チッ…!」



するとすぐに立ち上がりその場を去って行ってしまった。


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