「マルコッ!!名前を見つけた!すぐに飛んでくれ!」
船室から甲板に出ると、海兵を蹴散らしているマルコが目に入り、すぐに叫んだ。
おれに襲い掛かってきた海兵を吹っ飛ばすようにこちらに飛んできたマルコは、名前を見て泣きそうに顔を歪め、すぐに不死鳥へと姿を変えた。
「乗れ!!」
「あぁ!」
名前を抱えたまま背中に飛び乗ると、マルコはすぐに飛び立った。
「サッチを迎えに行くぞ」
「あいつまだ出て来てねぇのかよ!?」
「さっき黄猿が入ってったんだよい、止められなかった…。手こずってんだろうよい」
そっちには青雉が行ったが大丈夫だったかよい?
マルコの問いにはなんとか。とだけ答えた。
「こっちにあの二人が来たってことは船の方には赤犬が行ってる可能性が高い。早くしねぇと船もあぶねぇよい…」
「あぁ…」
ドッゴォォーーーーン!!
突然大きな音が響き、サッチが乗り込んでいたはずの船が真っ二つに割れ、沈み始めていた。
「お、おい…!あれ…!」
「おちつけエース、あれくらいでサッチは死なねぇよい」
慌てるおれに対し、マルコはいたって冷静にサッチの姿を探してるようだった。
「ほら、いたよい」
マルコの言った言葉に視線を船へ戻すと、二つに割れた船の両端にサッチと黄猿がそれぞれ立っていた。
「なかなかやるねぇ〜」
「お前能力者じゃん、船沈んだのに焦んないのかよ」
「困るのはお互い様でしょうよ」
「まあな」
サッチは見事に大将と互角に渡り合っていたが、マルコは船が心配だとすぐにサッチに向かって叫んだ。
「サッチ!!名前は見つかった!すぐ船に戻るぞ!!」
「へっ、んじゃおれは戻るかね〜」
「あれ〜、おっかしいなぁ。クザンの奴、ちゃんと仕事したのかい…」
マルコがサッチのいるところへ向かうとサッチは軽々と飛び乗った。黄猿が指先からビームを放ってきたけれど、サッチがサーベルでそれを躱し、マルコの身体はすぐにモビーへと向かい始めた。
名前の姿を見たサッチはさっきのマルコ同様顔を歪めたが、おれの頭にポンと手のひらを乗せた。
「よく取り戻した…!!」
あいつらが戻って来た!!
誰かの叫びで全員の戦闘が一時停止した。
空を見上げると、青い炎が見えて、その上から手を振るサッチの姿。
あんなに笑顔なんだ。きっと名前を取り返せたんだろう。
「いつでも船を出せるように準備だァーーー!!」
「海兵を蹴散らせーー!!」
おぉーーー!!
全員の士気が一気に高まった気がした。だけど、大変なのはまだまだこれからだ。
「誰一人逃がしゃあせんぞ!!」
「大将に続けーー!!」
いくら目的は果たせたからといって、やっぱ赤犬がいるってのはなかなかキツイ…。
それに、今の赤犬の言葉に海軍側の士気も上がったように感じた。
早くしないと、名前を奪い返した今、残りの戦力も全てこちらに向けられるはず。どうする…。
「グララララ……!!名前を奪い返すたァさすがおれの息子だ」
「オヤジッ!?」
声の方へと視線を向ければ、さっきまで後ろにいたはずのオヤジが最前線に立っていた。
赤犬と対峙する形になるが、オヤジは余裕そうに、また、楽しそうに笑った。
「白ひげ…。だいぶ歳を食ったようじゃのう…」
「グララララ…気をつけろよ息子たち」
ブウィーン
オヤジが両手から能力を発動し、そのまま敵船に向けて放った。
「うわあーーーー!!」
「振り落とされるな!船に掴まれ!!」
途端にぐらりと揺らぐ海に向こうの海兵たちは慌てだした。
何人かは海にも落ちているし、撃ってくる大砲も方向がめちゃくちゃだ。
その間に、不死鳥がこちらの甲板に降り立った。
「医療班!急いで名前の治療を頼むよい!」
「了解!!」
人間の姿に戻ったマルコが指示を出すと、準備していたナースたちがすぐに駆けつけてきて、担架で名前を船内へと運んだ。
未だ慌てている海兵たちを見ながら、ぼくたちは船を出航させた。
やっと終わった。誰もがそう思ったが、その時、エースが船べりに立ち、軍艦に向けて構えた。
「火拳ッッ!!!!!」
エースから炎の拳が飛び出し、さっきまでぼくたちと戦っていた軍艦が真っ二つに割れ、燃えた。
「グララララ!!よくやったエース!」
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