「今回の作戦を説明するよい」


ついこの間と同じようにオヤジの部屋に隊長達が集められた。

中心に置かれたテーブルにはたくさんの海図や資料が乱雑に置かれていて、今回の作戦を立てたらしいマルコの目の下には薄っすらと隈が浮かんでいた。


「アリタナ島で名前を奪還するつもりだったが護衛に大将達がつく可能性がある以上、少し危険すぎる」


アリタナ島で一点突破っつう前に考えた作戦は運試し的な要素があったため却下された。


「どうすんだよ」

「アリタナ島に着く前…、護送中を狙う」


何人かが目を見開いた。護送中っつうことは海の上だ。能力者が多いうちにとっちゃ不利なのは誰もが理解した。

しかし、マルコは全員の意見をわかっているかのように続きを話し始めた。


「うちに能力者が多いのはわかってる、海軍側もそう思ってるはずだ。つまり…」
「油断してる可能性が高いってことか…」
「あぁ」


めずらしくエースが一番に理解したらしい。


「いくら油断してるって言っても無防備に航海してるとは思えないんだけど」


ハルタの言葉にまたマルコに視線が集まった。


「当然だよい、護送船を軍艦で囲うくらいのことはしてるだろうな」
「だったら」
「お前らが軍艦に穴をつくれ」
「は?」


何言ってんのマルコ。護送船を囲ってる軍艦がわざわざ陣形崩すようなことしねぇだろ。


「無理なら注意を引くだけでもいい」


マルコの作戦はこうだ。

まず最初に、おれらがモビーで近づき軍艦の一隻を落とす。そうすれば、その穴から入ろうとするのを防ぐため他の軍艦がおれらの前にやってくる。

奴らはおれらの母船であるモビーを護送船に近付けないよう軍艦たちがこちらに集まり始め、やつらの注意はこちらに向いたところでマルコが空から護送船に侵入するってわけだ。
まぁつまり囮だな。


「おれと一緒にサッチ、お前も来てくれ」
「おれ?」


突然の指名に自分を指差したおれ。
しかもいつもの命令口調じゃなく来てくれって頼むもんだからから驚いた。


「名前には海楼石の錠が付けられてるはずだ。おれ1人で行ったらその海楼石のせいで能力が使えなくなっちまうだろい。だから非能力者のお前が名前を抱えておれに乗ってほしいんだよい」
「なるほどな、了解」


脱出するにはマルコの能力が必要なんだもんな。そのくらいお安い御用だ。


「それ、おれも連れてってくれ」
「エース」
「頼む、戦力になるだろ?」
「そうだが、エースが抜けたら囮が…」
「大丈夫に決まってんでしょ」


ハルタが心外だ。と言うように口を挟んだ。


「僕たちで十分敵を引きつけられるよ」
「そうか…わかったよいエース」
「あぁ。すまねえ」


相当名前が心配なんだろう。ここんとこエースは全然喋らねぇし、飯は食うが、量は明らかに減ってる。

エースの頭にグリッと掌を押し付けてやった。


「行くぜ」
「おぅ」


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