「ふぁ〜…」



目が覚めて、んー!と伸びをし、ベッドから起き上がる。机の隅に置いてある時計を見てみればまだ朝の5時で、なんだ…。と息を吐いた。

昨日は疲れてて早くに寝ちゃったからかな…?

なんて単純な身体なんだと自分に苦笑して服を着替えた。



昨日の夕方頃にエースが船に戻って来て、わたし達もシャボンディ諸島を出発した。
宴の流れになるのかとも思ったけれど、もうすぐエースの誕生日で盛大に祝うことになっているから昨日は誰も飲もうとは言わなかった。
何も知らないエースは少し物足りなそうな顔をしていたけど。


机の下に隠してある、昨日買ったプレゼントを見て自然と口角が上がった。
喜んでくれるといいな…。


さて、とわたしは腰に手を当てた。



「う〜ん…」



まだこんな時間だしなぁ…、きっとサッチ達は食堂で朝食の準備を始めているんだろうけど。
今行くのは、なんだか急かすみたいで嫌だなぁ…。



わたしは、本とカーディガンを持って部屋を出た。



「うぅっ…さむっ…」



甲板へ出るとすぐに冷たい風が吹き抜けて来て、思わず肩を抱いた。空はまだ薄暗くて、甲板にはまだ誰もいなかった。


わたしは、カーディガンを羽織って船縁に背を預けるようにして座り、本を開いた。


サワサワと風が通りすぎる中、文字を追い頁を捲る。一連の動作を繰り返していれば、だんだんと周りが明るくなり、それにつれて甲板へ来る人もちらほらと現れ始めた。



「クー」
「お、今日もありがとな!」



チャリンッと音がして見てみれば、ニュースクーから新聞を受け取る船員と餌を与えている船員の姿が。

ニュースクーが来たってことはもう8時くらいかな?んー…、もう少ししたら食堂に行こう。そう思いまた本を開いた。













「名前」
「イゾウ?」



少しして名前を呼ばれたので顔を上げると、いつもとなんら変わりなく、煙管を吹かしているイゾウと目があった。
もしかして朝食に呼びに来てくれたのかと思ったが。何故か目が少し、面白そうに細められていた。

どうかした?と口を開く前にイゾウがククッと喉を鳴らし、わたしの頭にはクエスチョンマークが浮かぶ。



「あんなことするなんて、お前根性あるなぁ」
「あんなこと……?」


何のことか少し理解出来てしまって、ダラリと冷や汗が背中を伝った。
とにかく食堂に来い。と歩き始めたイゾウに、「はい…」とだけ言ってついて行った。


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