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ゆっくり体を起こし立体起動装置を抜いたままその場へ這いつくばる。ゆっくり起こしたにもかかわらず強く打ったのか頭がグワングワンと揺れ吐く、だが耳だけは正常に周りの音を拾い色んな音が大きく聞こえさらに気分が悪くなる。
フードを被り深呼吸を繰り返し全身に酸素をながし負傷した場所を探す、地面にはいつくばっているからか巨人の地響きが全身へ伝わってくる。
深く深呼吸したおかげか視界も頭もすっきりした。
別に体が正常に戻ったわけではないけど…折れてはない、内臓も多分大丈夫。ただすごく気分が悪い。
顔を上げて辺りを見渡し状況を理解する。
左右上下を見渡してると、愛馬が駆け寄ってきた。
ケガしてないが全身くまなく撫でまわしてると数メートル後ろから視界を感じ、馬に飛び乗り体制を整え鎧の巨人が投げ飛ばせいてきた巨人を仕留める様とキインッっと立体起動装置の音を鳴らす。
エミリーを喰おうとした巨人の腕にアンカーを刺して体をひねりうなじ側に移動したときに巨人と目が合い狂気の笑みを浮かべうなじをそぎ落とし地上に降りようとすると馬が彼女の元へ走り迎えに来た。馬を撫で頭に上っていた血が一気に下がり
エレン…!エレン…!!ヒストリアは…!エルヴィン…っ!
少し前の事を一気に思い出し少し混乱した。が
「迷うな!!!!エレンよ!!!エレンこそ自由な人類の未来!!」
と声を出し自分に言いかけせ馬に跨りその場から勢いよく自分の本能に従いこっちであろう方向に馬を向け微かに見える距離に2人の兵士と今まさに喰わわれている影が目に入りトップスピードで向かう。
「エレンーー!ミカサアア!」
エレンの姿だと理解するにはそんなに時間がかからなかったがその直後に再度寄りの巨人がエミリーめがけて自身の体にまとわりついていた巨人を投げ飛ばし目の前へドシンッと飛んできたことにより、勢いよく再度投げ飛ばされ馬から振り落とされ馬も驚き逃げ去る。
…しつこ、いなぁ…。もう…。
咄嗟に体を丸め頭を守った為さっきよりかは意識は正常に保ちながらフラフラと立ち上がり、口の中に溜まった血に砂をまぜ吐き捨てる。
頭守った代償に利き腕の肩を脱臼していた。
「あー…あぁああ……」
痛さをごまかすように声を出し筋肉の緊張を和らげながら左腕で脱臼した右肩を押され顔をゆがめながら自身で戻し
はああああぁあああと大きく息を吐いて右手の動作確認をして立体起動を握る
投げ飛ばされて首を打ったのか目の前で力なく倒れている巨人と目が合う
「見世物じゃないんだけど…?」
アンカーを巨人の目へ差し抜いて視界を奪う
視界を奪われた巨人は叫び近くで叫ばれたことに腹を立て巨人の身体を上りうなじ側へ行こうとしたら足首を捕まれ刃でて首を切り落とすが掴まれた側の足首がきしむ激痛に襲われたが食いしばり項をそぎ落とし足を引きずりながら本来の目的へ走る。
「エレン…ミカサ…」と息を切らしながら彼らの元へ走りその場に体を崩しながら2人を抱きしめる
「よかった…よかった…あぁ…2人とも…」
2人を抱き寄せ目にたくさんの涙を溜め2人の顔を見る左手でミカサの頬を右手でエレンの頬を撫で悲しそうに微笑み立ち上がるエミリーにエレンの絶望した顔で見上げ
「エミリー!!」
「2人とも、本当に生きててくれてありがとう。」
微かに聞こえるような声で最後の刃を装填し引き抜きガス残量を確認する様にプスプスとガスを吹かせてガスの残量がほとんどないことに気づきながらも覚悟を決め進もうとしたとき
「まって!!エミリー!!」
彼女のマントを掴み引っ張られグインと下へ体が揺らぎ踏ん張ろうとしたが負傷した足のせいで踏みとどまることがでず、再度しゃがみこみ
「エミリー…」
心配そうに彼女の方を見るエレンとミカサに対して
「大丈夫だよう!そんなに心配しないで?これでも団長補佐だよ?私の命に変えてでも守って見せるから。死んでもあなた達の…」
エミリーが最後のお別れのように2人の頭を撫でながら言うので
「俺は!!いつまでも守られてばかり居るなんてごめんだ!!!自分の力で…」
と勢いよく立ち上がるエレンの目の前に先ほどまで兵士を捕食いていた巨人の手の平が近づいておりエレンを守ろう腰に腕を回し掴まれないように引っ張ろとしたときだった、エミリーの制止をお構いなく叫びエレンは巨人に殴りかかる
その巨人はエレンに殴られた反動で手の平が後ろへ後退するのがスローモーションで見えた。殴りかかったエレンはエミリーの方を向いて
「俺達の為に死ぬなんて言うな。俺の為に生き続けて一緒に戦ってくれよ」
綺麗な顔が夕日に照らされて更に綺麗に見えたエレンの顔に口角をあげ腰に回してた手を離しゆっくり立ち上がり
エレンの横に並び
「そうだねー」
フードをとりチラッとエレンのほうを見て
「ミカサを泣かすんじゃないわよ」
くしゃくしゃと頭を撫でまわし再度こっちへ向かおうとしてくる巨人をミカサを守るように2人で立ち向かおうをする
「生きて帰るよ。」
「おう。」
エミリーは立体起動を構え、エレンは叫び巨人を睨み拳をつくり殴りかかろうとしたときエミリーは体から伝わる振動が目の前の巨人からではなく後ろから感じ振り向いた時と同時にエレンが拳を振りあげ後ろの巨人が自分達を無視してエレンを襲おうとした巨人めがけて飛び掛かった。
「え・・・?」
エミリーの思考が止まり固まる。エレンも同じように今起きた出来事に動揺する。
後ろから多数の巨人が近づきエレンを襲おうとしてた巨人を襲いかかる光景がエミリー達の視界を埋めていたが指笛をならし自分の馬を何度も呼ぶと
遠くの方から走りこんでくる愛馬が見え「さすが、私のお馬ちゃんだよ…」といって
「待ってたよ、ありがとう」
抱きしめ首元を撫で、勢いよく跨る
「ミカサ、後ろの乗れる?飛ばすから落ちないように捕まっててね」
「うん」
「エレンは前」
「おう」
エレンとミカサは動揺しながら後ろを振り向きながら
「なんであいつが食べられてるの?」とエミリーに聞く
「わからない、でもとりあえずライナーたちから離れなきゃ。…だから飛ばすね。辛いだろうけど踏ん張って」
目の片隅の方から勢いよく走り向ってくるライナーを気にしながら走ってるエミリーにエレンとミカサはライナーたちが近づいてきてることがわかり
エレンはライナーの方を顔を向け睨み上げ
「来るんじゃねえええ!!てめえらぶっ殺してやる!!!」
と叫ぶと先ほどまでエレンを襲い掛かっていた巨人を喰ってた巨人たちが手を止めライナーたちの方へ走りこんでいった気がした、その様子をみたエレンとミカサがライナーたちを見つめるがエミリーはお構いなく馬を走らせてると
「エミリー!!」
「アルミン!!」
進行方向の方からアルミンが見えたエミリーは
「帰るよ!!」と叫びついてくるように視線を向ける。巨人たちはライナーに気を取られてるのでできるだけ馬を回収しようとしたエミリーは指笛を吹きながら走ると1匹の馬がエミリーの元へ来たので速度を落として綱をもち速度を上げる
エミリーの後ろには多数の兵士が追うようについて走る。
日が落ちかけ巨人が辺りにいないことを確認した後
「エレン」
「どうした。」
優しく声かけるエミリーに心配するエレン
「馬乗れる?体調悪かったりしない?」
「ああ、大丈夫だ。」
何が言いたいのかわからないエミリーに疑問符を浮かべながら答える。
「じゃあ私団長の所行ってくるから。ミカサをお願いね。」
直ぐ近くに走ってたアルミンへ声をかける
「アルミン。エレンをお願い。」
「ミカサ、一瞬だけ耐えほしんだけど。その後エレンに捕まってね落ちないようにね、」
ミカサを信じエミリーはぶつかるかぶつからないかの距離に一緒に走らせてた馬を寄せ飛び乗る
「エミリー!!」
エレンは心配そうに彼女の名前を叫びエルヴィンの元へ走っていった。
「エミリー補佐官!!」
エルヴィンを探しながら走ったことで兵士たちがエミリーの姿を見たことで安堵する。
「エルヴィンはどこ?」
「先頭走られてるかと」
「そう、ありがとう。」
辺りを見わたし、兵士のほとんどは満身創痍で目には光がなかった。その姿を今まで何度も見てきた。
でも、慣れることはない。その姿を見るた度巨人への憎悪が増し恐怖などどうでもよくなる。
白馬をみつけ距離を縮める。
「エルヴィン…。」
「…エミリー補佐官…」
エルヴィンの事を任せた兵士の暗い声を聞き自分のしたことが正しかったことなのかと疑念を濃くする
「腕…。」
「エミリーか、見た目ほど悪くない。」
少し笑みを浮かべるエルヴィンを直視できず。なぜ自分ではなかったのか、切り落とした時の手の重みを思い出し手綱を握る手が震え視界が歪む
あのとき躊躇することなく切り落としたのは自分で、あの優しく抱きしめてくれた腕を奪ったのは私でどんな言い訳をしようと事実は変わらなくて
「よく、エレンを守ってくれた。」
その優しい声にとめどなく涙が流れ顔を上げることができない。
「は、い…」
「ありがとう。」
「…っ…」
誰も私の事は責めない。私が団長の腕を落とし、エレンを優先し…リヴァイが…いたら…違ってたのかな…
誰もがあの場面でエルヴィンを救ったのはエミリーだと思っているあのまま巨人に連れ去られていたら今エルヴィンはこの場に居ないかもしれないからだ。