ティーはほとんどジャックの服を借りて生活している。もちろん、必要な衣類は買い与えられている。きっと似合うであろう、女物の外行きの服も選んでやった。しかし、ティーは着心地の良い、楽な衣服を好むらしく、いつも、男物の、それもジャックが着古したようなシャツや、或いは彼のカーディガンなどをワンピースのように一枚羽織るきりで、部屋の中でまともな服を着ることはなかった。
少女を注視するとき、普段は氷のように冷たい男の瞳も燃えるような熱を持つことがあった。主にそれはティーの無防備さが原因である。白いシャツに浮いた胸の先の淡い色や尻の形に惑わされぬ程、ジャックという男の心は強くはなかったのである。
「お前、下着は…?」
ジャックが問うと、ティーはきょとんとした顔をして、次の瞬間、事も無げに、ぺろりと裾をめくりあげた。指先が布を摘まんで引き上げた分、細く白い脚が付け根まで露わになる。薄紅の下着が、ちらと確認できた。
「はいてるよ?」
「いや…お前は…馬鹿か……馬鹿だろ…いや…そうじゃなくて……」
ジャックは思わず頭を抱えてしゃがみこんだ。珍しく動揺したらしい。その心情を掴めぬティーは不思議そうに小首を傾げた。笑うに笑えず、唇をへの字に曲げて、ジャックは膝から顔を上げた。目の前には少女の滑らかな肌があった。それに手を伸ばさぬ男はいない。つう、と柔肌に指を流す。
「あ……」
ジャックはティーの脚の付け根の肉を撫で回した。すべすべとして、やんわりとした手触りだ。夢中になっていると、かくりと細い膝が折れて、彼の肩に少女の体がもたれかかった。男の手は上へと進んでいく。布一枚の他に、彼を阻むものはなかった。薄い胸に触れると、小さな体がぶるっと震えた。少し力を込めて捏ねてやれば、少女は可愛らしい声で鳴いた。
「お前、ブラジャーは?」
「つ、つけてない…っ」
「なんで」
下着の中に指を差し入れた。毛も生えていない肉は柔らかく、わずかに湿った感触がする。手を動かすのに邪魔な下着は引き下ろしてしまう。ティーの腕が、すがるようにジャックの頭を抱えた。彼は熱くなっていた。この少女は、それを誘発することに長けているのか、一挙一動が彼の中の雄を強く惹きつけるのだ。
「あれ、かたくて、痛いから……なんか…いやなの」
ジャックの耳元で、ティーが甘く囁いた。彼は熱っぽい声で返す。
「ふうん…俺といるとき良いけど、外に行くときは着けろよ?」
「やだ…」
「だめ」
「いやだもん…」
ティーがこのように嫌がることも珍しいことだった。ジャックは、ゆっくりと体を引いた。不埒な指先一本残らず、少女から引き剥がした。
「そんなに嫌なのか」
「ジャックはつけないから、わからないんだよ」
ティーは潤んだ瞳をして、眉根を寄せていた。悩ましげな表情は、拗ねているためか。愛らしく紅く染まった頬に、ジャックは唇を寄せた。
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