寒いだろうに、半裸の体を丸くさせて、ティーはソファーに沈んでいた。小さく震えながら辛そうに浅い呼吸を繰り返している。
「お前は馬鹿か」
見かねて、自分の衣服を何枚かティーに着せてやった。触れた体はどこもかしこも冷えていた。服を着せている間もティーはぐったりとして、薄く開いた目を暗くさせている。
「こんなところで寝るな」
ベットに寝かせ、布団をかぶせた。苦しげに眉を寄せているティーの額に手を乗せると小さな手が重なった。
「ジャック……っ」
ゴホゴホとむせる。痰のからんだ酷い咳だ。
「……だから看病なんかしなきゃ良かったんだ」
そう言うと、ティーは潤んだ目を此方に向けた。そこに非難の色こそなかったが、物言いたげな眼差しをしていた。もちろん、先日風邪をひいた自分にも責任がある。
「……嘘だよ。悪かった」
頭を撫でてやれば、ティーは小さく頷いた。
「寝とけ。安心しろ。今日はどこにも行かないから」
もぞもぞと動く布団から出ている愛らしい額をそっと撫でた。
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