俺に夢を与えた、光を差し込んでくれた、園村の。もう一度会えたことは奇跡かもしれないけれど、園村を好きになることは、俺にとって決まっていたことだったように思える。
園村しか好きになったことがないからそう思うのか、そうだったらこの先も園村しか好きにならないと胸を張れるからなのか。とにかくあの日から恋い焦がれ続けた彼が、自分の腕の中に居るのだ。
それだけで、充分なんじゃないだろうか。
あの日の彼も、あの日から唯一心を許せた彼も、どちらにせよ好きなのだから。
「ねえ、センセイ」
「んっ?」
「センセイを振り向かせるには、どうしたらいい?」
「っ〜…」
早く、落ちろよ。
俺みたいに、必要としてよ。
俺みたいに、求め続けてよ。
責任とってよ、センセイ、
事情
(保健室で出会ったその人の手は、いつか俺が息をするのさえ忘れて見上げた手で。俺はその手を掴み、引き寄せた)
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