22 | ナノ

それから先輩二人は遅れてやってきた。とはいっても先輩以外の3年生も遅れてやってきたから遅刻したというわけではないようで、周囲に耳を澄ませているとどうやら進路指導があったらしい。
来年は僕も先輩たちのように進路指導があったり模擬試験もたくさんあったりするのだと考えるとすごく気が重たくなる。
「あ、そうだ。クラパートの1年生、こっちに来て」
まだ遠いようでけれど着実に迫っているそれを考えていると高橋先輩が江原君たちを呼んでいた
「これ、部活の基礎練習で使う楽譜。これほぼ毎日使うからなくさないようにファイルに入れておいて。ファイルは百均に売っているものでもいいから持っていなかったら買っておいて」
3人は楽譜を受け取る。上村さんと村瀬さんはファイルを持ってきていたが、江原君は持ってきていなかったみたいでどこか焦ったような顔をして今日買ってきますと
「それ以外にこれから吹奏楽部で活動していくために必要な物ってありますか?」
「顧問から譜面台だったり手入れに使ったりする道具の購入について話があるから、その説明を聞けば大体わかると思う。年度の初めは購入の申し込みをする紙が部員全員に配られるからそれに必要なものを記入して提出、それ以降は個人で楽器店に行って購入するっていう感じ。クラリネットで必要なものはこっちで指示するよ
「譜面台とかって大体どのくらいかかりますか?」
譜面台、チューナー、お手入れセット、中学時代入部した時のことを思い返すが、いろいろ購入していた。
「多分2万円と少しだったかな。それと、クラリネットとサックスはほかの楽器と違って定期的にリードを買わないといけないから費用のことは親に説明しておいてね」
2万円という額はアルバイトをしていない高校生にとっては高額であり、案の定、金額を聞いた江原君も驚いた顔をしていた。
「そういったことはまた追々説明するから、まずは楽器を組み立てようか」
彼の傍に置かれた楽器ケースを僕は開けた。


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