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邪悪な夢

これからも“はるうらら”様の繁栄を願って通わせていただきます。一周年及び200万達成おめでとうございます!



『二見さん、優しいね』

ああ、紫音ちゃん。そんな可愛い顔俺以外の奴の為にしないでよ。これからは俺が二見さんより何倍も優しくするから。



「悪いな、晴海」

え、二見さん?何が?

「でもお前がチンタラしてるのが悪いんだぜ?」

は?

「言っただろ?俺から全力で守れって」

何、言って・・・ってか、なんで紫音ちゃんの腰抱き寄せてんだよ。

「残念だったな。警戒心の強いこの子猫ちゃんは俺が大事に可愛がってやるよ」

ふざけんな!あんたにゃ渡さねぇって、

「もう遅いんだよ。子猫ちゃんが俺を選んだんだ。男らしく諦めな」

嘘だ!!ねぇ、紫音ちゃん!?二見さんを選んだなんて嘘なんでしょ!!?

『二見さんね、俺のこと可愛いって言ってくれたんだ。それにすごく優しくて、頭も撫でてくれるんだ』

そんなの俺だってっ

『ううん。先輩とは違うよ』

違うって何が・・?

『先輩は滝内先輩の為に俺に優しくしてくれたんでしょ?先輩、俺みたいな無愛想でゴツイ男可愛いと思わないって言ってたもんね』

確かに最初はそう思ってた。いや、思い込もうとしてたんだ!今は本当に紫音ちゃんのこと可愛いと思うし、好きなんだよっ!?

『ありがとう。嘘でも嬉しいよ』

嘘じゃないよ!俺は本当にっ

『ねぇ、先輩?今まで散々りーちゃんと比べておいて、今更信じられるわけないよ』
「そういうこった。まぁ恨むんなら過去の自分を恨むんだな」
『じゃあね、先輩。それでも俺は大好きだったよ』

紫音、ちゃん・・・



やめろ・・・やめてくれ・・・・

俺の大事な子を奪わないでくれっ

行かないで、紫音ちゃん・・・

待って、行くなっ



「行くなっ!紫音!!!」

寄り添いながら遠ざかる二人の背中に手を伸ばして叫んで、目が覚めた。
視界には伸ばされた俺の手と無機質な見慣れた天井だけで、点けっ放しの証明が目に痛い。


「なんつー夢だよ・・・マジ最悪」

やっと自分の中の恋心に気付いたってのに、過去の俺の愚行が夢になって責め立てる。しかも二見さんが絡んできやがった。

「くそっ」

恋敵である二見さんがかっ攫っていく夢とかリアル過ぎて笑えねぇ。それに今更だなんて、俺が一番わかってる。
それでも想いは加速していくばかりで、止め方なんて知らないし、止めようとも思ってない。


「つーか、俺いつの間に寝て・・・って、ヤバッ!」

今日はチームの集まりがあって、夕方に戻ってゆっくりしてる内に寝てしまったらしい。
急いで着替えて出ないと!俺が紫音ちゃんを独占出来る貴重な時間が減ってしまう。

「早く会いたいな〜」

あんな夢を見て最悪な目覚めだったとしても、大好きな君の可愛い笑顔を思い浮かべるだけで幸せな気分になれる。
よし、とりあえずは例の写メ見て気分上げておこう。



『あ、先輩!こんばんはっ』
「こんばんわ、紫音ちゃん。髪まだ濡れてるけど、急いでどうしたの?」

ロードワークしてシャワー浴びて来てるのは知ってたけど、いつも風邪とか引かないようにちゃんと乾かしてるって言ってたのに。

『うん。少しでもいっぱい先輩とお話したくて、急いでたら忘れちゃったんだ』

ちょ、なにこの天使!狙ってるの!?俺の理性を試してるの!?ああ、やばい・・・あんな夢見た後だから余計癒されるな〜
いや、もう癒しを通り越して攻撃に近いけどね。主に下半身に対して。

嬉々とした笑顔に紅潮した頬、走って来たのか少し乱れた呼吸、濡れた襟足から首筋を伝う雫とか壮絶にエロい。
あの雫を辿って舐め上げたらどんな顔するかな・・・鎖骨の窪みを舌先で擽ったり、項に吸い付いたりしたらどんな声で・・・・

『先輩?』
「っ!・・・な、なに?」
『なんかボーッとしてたから・・・もしかして疲れてる?しんどいのかなって』
「あ、ごめんね。ちょっと悪い夢見てね・・・でももう大丈夫だよ」
『本当に?無理しないでね?』
「本当だよ。紫音ちゃんの顔見たら元気になったよ」

色んな意味でね。

『そっか。えへっ、なんか嬉しいなぁ』

だ・か・ら!!そんな可愛い顔しちゃダメだってば!くそっ!子猫が邪魔で抱き締めることも出来ねぇっ・・・!


『あ、そういえば先輩、悪い夢ってどんな夢だったの?』
「え?」

暫く子猫を間に挟んでまったりと話していたら、思い出したように紫音ちゃんに問い掛けられた。
え、本人に言うの?いや、記念物級に純粋な紫音ちゃんが気付くとは思わないけどね。

『人に話すと良いって聞くし、ね?』
「大した内容じゃないけど、俺が大事にしてた子猫を別の人に奪われた夢を見たんだ。
それまで俺は子猫のこと自分の都合の良いように扱ってたんだけど、ね。
でも自分がその子猫をどんなに好きで大事な存在か自覚した直後に攫われてった」
『それは悲しいね』
「うーん・・悲しいっていうよりも悔しかったかな?でも、出来れば二度と見たくない夢だね」

夢だとわかっていても、いつか現実に起こりそうなだけに切実に勘弁して欲しい。

『じゃあ俺がおまじないしてあげる!』
「おまじないって、もしかしてお父さん?」
『うん。俺やりーちゃんが怖い夢見たとき、もう見ないようにギュってしておまじないしてくれたの』

ギュって、それは抱き締めてくれたってことだよね?ってことは・・・


『もう晴海先輩が悪い夢を見ませんように』

脳内で理性と本能が葛藤している間に俺の体は硬くて温かいものに包まれていた。
こんなに筋肉質で柔らかさの欠片もない身体に愛しさが込み上げてくるなんて、恋の病は恐ろしい。

『大丈夫。先輩が大事にしてるなら子猫ちゃんは他の人のところなんか行かないよ』
「なんで?」
『だって、絶対先輩のこと大好きだもん!だから安心していいよ』


━━━━━━━━ ちゅっ


は?

「え・・今の・・・?」
『これで先輩もう悪い夢見ないよ!』
「あ、ありがとう・・・」

額に残る柔らかい感触と音からするに、俺、今・・・意外に紫音ちゃんの唇って柔らかいんだな。
って!!!!ヤ、ヤバイ。絶対に顔赤い!ってか、凄い勢いで熱が集まってる一部分が非常に危ない!
しかも美味しそうな鎖骨が目の前にあるし、なんかフローラルな香りするし、また一筋雫が落ちて・・・・

「ご、ごめん!紫音ちゃん!ちょ、ちょっと用事思い出したから今日は帰るね!!」
『そうなんだ・・・』
「また明日も来るから。じゃ、おまじないありがとねっ」
『っ、うん!待ってるね!』

少し寂しそうに眉尻を下げる紫音ちゃんに更に刺激されながらも、明日の約束を取り付けてダッシュで駆け込んだ。
何処になんて決まってるだろ。自室のトイレにだよ。当然、数時間は篭って出られなかった。



その後晴海が悪い夢を見なくなった代わりに、邪な夢を見るようになったのは言うまでもない。



END



AI様、ありがとうございましたー!キャラ崩壊だなんてとんでもない!おそらくこれが晴海の本性です(笑)
AI様は二見がお気に入りなんですね!実は私も気に入っておりますが(#^.^#)
紫音ちゃんたら、晴海を手玉に取るだなんてなんて小悪魔なのかしら(#^艸^#)晴海のヘタレっぷりも最高です。

企画にご参加いただきましてありがとうございました!これからもはるうららをどうぞよろしくお願いいたします!

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