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2

なんの接点もなかったはずの二人が絡むようになったのはそれからすぐのことだった。長城が行く先々で、一人ぶらぶらと校内をうろつく末武をよく見かけるようになったからだ。
長城たち風紀委員や、生徒会の人間はその仕事の多忙さゆえに授業の免除がある程度認められている。長城が末武を見かけるのは明らかに授業中、自分が風紀の仕事で校内を歩いているときだった。

「末武、今は授業中のはずだろ?なんで授業を受けないんだ」
「…うるせえ」
「それに、その格好。ピアスや髪の色を染めるのは校則違反だ。服装も、指定以外のシャツを着るのはいけないとされている。」

長城は、末武を見かけるたびに必ず同じことを注意した。それに、末武はうっとおしそうに舌打ちをしたり『黙れ』とぴしゃりと言葉をさえぎったり。それでも、長城は末武を恐れたりすることなく毎回話しかけ、何とか更生させようと話しかけていた。


そんなある日、長城が放課後の見回りをしていると空き教室で一人座って窓の外を眺める末武を見つけた。教室の扉を開け、末武の近くに寄り声をかける。

「末武。もう下校の時刻はとっくに過ぎてるぞ。いつまでも校舎内に残っていてはだめだ」

いつものように柔らかく微笑みながら話しかける長城を一瞥したかと思うと、末武は椅子からゆっくりと立ち上がり長城の目の前に立ちふさがった。
長城は決して背が低い方ではない。180ある身長で、どちらかといえば大きい方に入る。だが、末武はそんな長城をはるかに超える身長で目の前の長城を無言で見下ろしていた。
いつも話しかけてはいたが、こんなにも近くで末武を見るのは初めてで、思わず長城はどきりとする。

こんなに、背が高かったんだな。加えて、美形ではあるがその冷ややかな視線で睨まれでもしたら確かに普通の人なら恐怖を感じるかもしれないな。

「…なあ」

そんなことをぼんやりと考えていると、ふいに末武が話しかけてきた。

「あんた、そんなに俺が気になるのか」
「あ、ああ。」

ずい、と目の前に顔を迫られ、思わず腰が引ける。だが、一歩退こうとして長城は末武の腕が自分の腰をがっちりと抱き込んで押さえていることに気が付いた。

「な、なん…」
「言うこと聞いてやってもいいぜ。…ただし、条件がある」

なにを、と顔を上げると同時に、視界が反転する。目の前にあったはずの顔の後方に天井が写って、初めて長城は自分が押し倒されたのだと気が付いた。

「な、なにを…!」
「暴れんな」

慌てて立ち上がろうと末武を押したその手をいとも簡単にとらえ、あっという間に長城のズボンからベルトを引き抜き掴んだ腕をそれで拘束する。信じられない、と驚愕に目を見開く長城の目の前にある顔が凶悪に歪んで自分を見下ろす。



「クワセロ」


悪魔の声が、空き教室に響いた。



泣いて叫んでも、どれだけ許しを乞おうとも、罵ろうとも、末武は長城を凌辱し続けた。信じられなかった。まさか、自分がこんな目に合うだなんて。無理やりのその行為の中、末武は決して自分だけ快感を得ようとはしなかった。むしろ、長城をこれでもかと言うほどしつこく責め立て快感に泣く長城を見てその顔を狂気に歪めていた。
末武は、その行為の間いくども携帯で長城の痴態を写真に収めていた。長い長い悪夢が終わった後、空き教室で力なく呆然と横たわる長城の体をどこからか持ってきた濡れタオルで綺麗にしてやると、長城に服を着せながら末武は長城を脅迫した。

「いいか。これからてめえは毎日俺に抱かれろ。そのかわり、一回抱くごとにてめえの言うとおりちゃんと授業に出てやるよ。それから、写真も一回ごとに一枚消してやる」

自分のシャツのボタンを留めていく末武の顔を、絶望と恐怖に満ちた顔で長城が見つめる。

「俺の呼び出しには必ず応じろよ。約束を破ると…どうなるかわかってんな?」

にやりと笑いながら、先ほどとった写真の一枚を画面に映し長城に見せる。思わず長城が顔ごと逸らすと、さも楽しそうに口角を上げて末武は教室から出て行った。



その日から、長城は宣言通り毎日末武に抱かれている。それは末武の部屋だったり、自分の部屋だったり。末武は長城に恥ずかしい格好や自分から誘うことを写真を盾に強制する。そのたびに長城は羞恥に泣き、その泣いている姿を見て末武はひどく喜ぶのだ。
風紀委員長である自分が、不良に脅されて体の関係を強要されているだなんて。長城は、いつか末武が自分との行為に飽きてくれるのを祈るしかなかった。

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