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3

「当たり前っ…」
「この牙も本物か?」

付けただけ、何て言われて頭に来て言い返してやろうと口を開いたら、今度はすかさず俺の口に指を突っ込んできた。なんだってんだ、この野郎!

噛みついてやろうか、とグッと歯をたてようとするよりも先にイアンの指が俺の舌を嬲り、敏感な上あごをゆるりと撫でてくる。その指の動きに、俺はびくびくと震えてしまって噛みつくことも忘れてしまった。

「あ…、ふ、ぅ…」

やべえ、ほんとなんでコイツこんなに上手いの。
まるでディープキスでもしているかのように、イアンのごついけれど繊細な指が俺の口の中で舌を嬲る。上へ、下へ、時折二本で挟み込んでゆるゆるとしごく。

「ん、ん…っ」

やべ…、感じる…

イアンが指で口内を嬲るたび、ぞくぞくと背中に快感が駆け抜ける。しっぽもゆるゆると扱かれて、耳をまた甘噛みされて俺は抵抗も忘れてイアンの体にすがってしまった。

「…エロい顔」
「…!」

とろん、と目を細めているとふいにばかにしたような笑いが聞こえてハッと我に帰る。
く、くそう!油断した!
目の前でにやにやと笑うこいつがムカついて仕方がない。いつもいつも余裕な顔しやがって!

「て、てめえこそどうなんだよ!その牙、偽もんじゃねえのか!」

何とか言い返してやろうと、俺は吸血鬼であるイアンのトレードマークとでもいうべきその牙をバカにしてやろうと指をさした。


ところが、だ。


悔しがる顔をするのかと思いきや、奴はその端正な顔に似合わないほど意地の悪い笑みを浮かべ、俺の頬を両手で挟み込んだ。そして。


「――――――――ならば確かめてみるか?」
「イ、イア…、ンッ……!!」


顔をうんと近づけてそう囁くと同時に、俺の口を自分の口で思い切り塞いできた。

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