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7 涼介side

放課後、俺は駆け寄ってきた浮気相手達を連れてご馳走の用意をしているであろう翔の待つ部屋へと帰ってきた。

「おかえり!りょうすけ…」

満面の笑顔で出迎えた翔の顔が一瞬にして曇る。ああ、嫉妬してる。その表情に内心優越感を感じながら俺は翔に声をかけた。

「ごめんね、翔。皆がせっかく祝ってくれるって言うからさ。別にいいよね?大勢の方が楽しいし」

そう言うと悲しそうに俯いて唇を噛む。だけど、翔はすぐに笑顔で顔を上げて『いいよ』と言った。
なんで。どうして笑ってんの。怒らないの?なんでもっと悲しそうにしないの?


いつものように嫉妬を露わにしない翔に対して不安が募る。


まあいい。きっと強がってるだけだろう。目の前でこいつらといちゃつけば、きっときっと怒るはず。
俺は浮気相手たちの肩を抱いてリビングへと向かった。

それから、俺はあからさまに4人と楽しく過ごしてやった。時折ちらりと盗み見る翔の顔は嫉妬にあふれてて。
俺はそれを見て翔に愛されてるのをひしひしと感じて恍惚としていた。

ごめんね、翔。愛してる。後からうんと甘やかしてあげるから、もっともっと俺のことを考えて。

キッチンで洗い物をしている翔とばちりと目が合う。
最後の仕上げとばかりに、俺は隣に座る子の唇近くにキスをした。

唇にはしないよ。俺のキスは翔専用だから。でも、翔からはきっと口づけたように見えたはず。その証拠にほら、翔の顔が嫉妬で歪んでる。


「あ〜!なに、涼介!その子だけずるいよ!」
「僕にもしてよ〜!なに、涼介はその子が好きなの!?」

きゃあきゃあと騒ぎ出した他の子にも、順番に唇近くにキスをする。

「この子だけじゃないよ〜、俺は皆がだぁい好きだからさ。皆が俺のこと好きだって言ってくれてお祝いしてくれたのが嬉しかったから、そのお礼だよ〜」


へらへら笑いながら翔を見る。翔はもう背中を向けていたけど、俺は翔の嫉妬した顔を想像してぞくぞくと快感を感じた。


翔が怒り出したら、ネタバラシをしよう。
『キスはしてないよ、近くに口づけただけだよ。唇は愛してる翔としかしたくないから』
そう言って抱きしめてやればどんな顔をするだろう。

いまかいまかと興奮して胸を高鳴らせるも、翔はその日皆が帰るまで一度も怒らなかった。

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