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美形副会長×平凡親衛隊長


敬語クール×健気(?)


攻→相田礼一(あいだ れいいち)
受→堤恭平(つつみきょうへい)

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「お願いです!隊長、制裁の許可をください!」
「だめだよ。相田様にご迷惑をかける行為はしちゃいけない。僕ら親衛隊はあくまで相田様の為に存在するものなんだ。相田様が望まないことはしちゃいけない。」

堤がきっぱりと言い切ると切実に訴えをしていた隊長たちは涙を浮かべて唇を噛み、うつむいた。その姿に堤は申し訳ない気持ちでいっぱいになる。


堤がいるこの学園は、いわゆる王道と呼ばれる山奥にある全寮制の男子校だ。美形がもてはやされる同性愛が普通であるこの世界で、抱きたい抱かれたいランクなるもので生徒会役員、風紀委員が決められる。
堤はこの学園に入学し、副会長である相田に憧れ、親衛隊に入隊。憧れはやがて恋愛感情に。全ては相田のために。相田が気持ちよく学園生活を送れるように。

相田の為に誠心誠意尽くす堤はその働きを認められ、親衛隊長になった。

隊長になると堤はもっと相田の為にと尽くすようになった。

『いつも私を支えてくれるあなたが好きです。これからもずっとそばにいてくれますか?』

そんな堤に、告白したのは相田からだった。親衛隊の皆は、堤がどれだけ相田を想っているかを知っていたため二人が付き合うことになったのを心から祝福してくれた。

そうして、二人は支え合いながら真摯なお付き合いをしていた、はずだった。


全てが崩れたのは、ひとりの転校生が現れてからだった。その生徒、白河友美(しらかわともよし)は、とてもとても美しい容姿をしていた。長いまつげに大きな瞳。色白で、小柄で、華奢で、儚い雰囲気をまといまるで童話の白雪姫のような彼は、臆病ながらに自分の意見をしっかりと言う子だった。

チャラ男だった会計が『君かわいいね〜!ね、俺とえっちしない?』と誘うと『そ、そういう事は軽々しく誰とでもしちゃいけないんです。えと、あの、やっぱり、好きな人と…、ぐす…っ、体、だけなんて、さみしいじゃないですかぁ…っ!』と、ボロボロと泣きながらに訴え、その姿と言葉に会計は心を打たれたと恋に落ち。
双子の庶務には、『お、同じな格好はしてても、あなたがたは個々に違うから。わ、わかりますから。』と涙を浮かべた笑顔に恋に落ち。
書記、会長、ともに同じように健気に必死に自分の意見を伝える彼に学園の美形という美形が揃って恋に落ちたのだ。

そこまでは、よかった。

だが、この白河は、天然なのか計算なのか、この学園を間違っていると言い出した。

『い、いくら生徒会だからって、ずっとずっと仕事ばっかりだなんて、ひどいです。が、学生なんだから、少しくらいお休みしたって、いいと思いますよ?』

その言葉で、役員たちは仕事を放棄し、白河に構いっきりになってしまった。

『し、親衛隊だなんて、間違っていると思います。それで、あなたがたに、お友達ができなかったんだって思うと…っ、か、かわいそうで…!』

その言葉で、役員たちは親衛隊を邪険に扱うようになった。
白河の存在に、困り果てた親衛隊たちは注意をしようと白河を呼び出し。当の白河は親衛隊の話をろくに聞こうともせず泣きだし、
『ぼ、僕のことが気に入らないんならごめんなさい!でも、でも、彼等はかわいそうだから…!な、なにを言われても、友達はやめたくありません…!』
そう言って駆け出し、転んだところに役員たちが駆けつけ、親衛隊が彼を転かしたと勘違い。誤解を解こうにも
『ぼくは大丈夫ですから…!』
としか言わない彼を役員たちは完全に被害者として扱い、ますます親衛隊を嫌うという悪循環だった。

そんな状況に親衛隊たちが我慢できるはずもなく、各役員の親衛隊の一部の者たちは白河に対して制裁を行おうとするものも現れ始め、それを各隊長が必死に阻止する。
この学園は、もはや崩壊の一途を辿っていた。


そんな中、副会長だけは大丈夫だろうと。堤を大事にしている副会長は、落ちないだろうと言われていたのだが。


白河と堤が同室になったその時より、その事実はあっと言う間に崩されてしまった。

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