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バンビちゃんとwhiteday

「ホワイトデーか…」
「朝から何回目だと思ってるんですか。いい加減うっとおしいですよ」


ぽつりつぶやいた俺に容赦ない言葉が返ってくる。山本、お前俺が嫌いなのか。


「なに悩んでんのー?こぐちゃんに返すお返し?」
「そうなんだ。バレンタインはチョコプレイをしたからな。ホワイトデーだからホワイトチョコでプレイと思ったんだが、ワンパターンかなと悩んでて」
「会長…ヤることしか考えてないの…こぐちゃんかわいそう」

上村のげっそりしたような言葉にうっとなる。

「仕方ないですよ上村先輩、会長は元々下半身バカなんですから!」

下半身バカ…
草壁にとどめを刺され机にがくりと倒れ込んだ。

「…わかった。今回は、ヤらない!お返しを用意して、最高にスマートにカッコ良く渡して決めてやる!見てろ貴様等!」
「こらー!バ会長!仕事ー!」


生徒会室を飛び出した俺に山本がなんか言ってるが知るか!小暮に最高に紳士的なお返しの渡し方をして、惚れ直してもらうんだ!


部屋に帰った俺は早速準備に取りかかった。まずムードが大事だ。テーブルをセットして、ディナーをケイタリングした。部屋のランプもスタンドのみにして、クラシックを流して。おお、いい感じじゃないか!後は小暮の来るのを待つのみ。


ピンポーン


来た!!!
いそいそと玄関に向かい、開ける前に咳払いをして身だしなみを整える。

「やあ、待ってたよ愛しい人。」
「…!?」


紳士的に微笑み、中へとエスコートする。
ふふ、驚いて声もでないか。まだまだこれからだぞ。
綾小路家嫡男の真骨頂、とくとごらんあれ!

「来てくれてありがとう。君に会えるのが待ち遠しくて胸を焦がしたよ…」

エスコートした小暮の手を取り、その甲にうやうやしくキスをする。
小暮、真っ赤になってるんじゃないか?内心にやつきながらちらりと目を上げると、あれ?なんか怪訝な顔してるぞ?
ま、まあいいか。きっと混乱してるんだな。

「君のために最高のディナーを用意したんだ。喜んでくれるかい?」

テーブルへと小暮を促し、椅子を引いてやる。小暮が目を見開いた。おっ、ちょっとイケてるか?小暮はちょっと困ったように笑い、「ありがとう」と言った。

…なんだかいつもと違うなあ。

二人で席につき、ディナーを始めた。とりとめない会話をしながら、食事を進めていく。
食事を終え、食器を片づけようとする小暮をソファへと誘導し、座らせて片づけをする。終わったら、紅茶を入れて並んで座る。俺は小暮の肩へと手を回し、時折見つめ頬にキスをする。
うん、いいムードじゃないか!
そっと隠していたプレゼントを渡す。

「…バレンタインのお返し。開けてみて」

箱の中には、クリスタルでできたバンビ。

「君は俺のかわいいバンビだから。きっと似合うと思ってこれにしたんだ。」
「…あ、ありがとう…嬉しい…」

小暮が頬を染める。
うっ!いかん、む、息子が臨戦態勢に入る!

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