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「お前、何か変なもん入れたんじゃないだろうな?」
「ななななに言ってんの!入れる訳ないじゃん!ほら、食べよ食べよ!いっただっきまーす!」


一夜が一口、パイを食べる。うん、違ったみたい。変な薬とか入れたのかと思った。
俺もパイを一口食べる。


しばらく食べ続け、半分くらいになったところでフォークを入れたら何かがカチンと当たった。なんだこれ?
フォークで当たった物の正体を探す。


「…これ…」


中から出てきたのは、銀色の指輪。
驚いて一夜を見る。

「えへへ、見つかっちゃった。なんちゃって。」

一夜は、笑顔で俺を見ていた。

「フランスにね、ガレット・デ・ロアって言うお菓子があるんだって。パイの中に陶器の小さな人形を入れておいて、当たった人が王様で何でも一つ命令ができるって子供の遊びが入ったお菓子なんだけど。」


一夜が、俺の皿から指輪を取り出す。


「真似てみたんだけど、俺ってだめだね。和ちんが早く見つけてくれないかなってそわそわしちゃった」


にへ、と笑いながら指輪を綺麗にふく。そして、俺の左手をそっと握った。


「…人形にしようかと思ったんだけど、人形なんかなくたって和也は俺の王様だから。和也の言うことならいつだってなんだって聞くよ。
これ、バイトして買ったんだ。もらってくれると嬉しい…」


指輪を持つ一夜の手が震えてる。俺の左手からも、一夜の震えが伝わる。

「俺…、なんも一夜に出来てないしあげてないのに…」
「いいの。これは、俺の自己満足。それに、独占欲かな?和也が、俺のものだって証が欲しかった。だめ…かな」


一夜の言葉に、俺は首を横に振る。


「…嬉しい。一夜、はめてくれる?お前のものだって証。」


ポロポロ涙をこぼしながら言う俺に、一夜はにっこり笑って指輪をはめた。いつの間に調べたのか、ぴったりだ。
嬉しくて嬉しくて、じっと眺める。

「…パイから指輪を見つけたから、俺は王様だよな。何でも一つ言うこと聞いてくれるんだっけ?」
「もちろん。ご命令をどうぞ、王様。」

召使いのように頭を下げる一夜に向かって俺は両手を広げた。


「抱きしめてキスして。」
「はい、ただいま!」

俺の命令に、一夜は満面の笑顔で俺を抱きしめキスをした。



happy whiteday!

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