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ふたりのホワイトデー

今日はホワイトデー。俺と一夜は夕方から二人でマシュマロ作りに励んでる。
バレンタインの日、スーパーでお互いのため手作りチョコを作ろうとして同じ材料を偶然手にした俺たち。
仲良く二人でチョコを作り、ホワイトデーも二人で作る約束をした。

そんなわけで、さっきから作ってるんだけど…



「一夜、何してんの?」
一夜がさっきから何だかこそこそしてる。

「な、なんでもないよ〜!ねね、和ちん、これでいーの?」

マシュマロだけじゃなくて、突然かぼちゃパイも食べたいから作ろうと言い出し、一夜は最後の仕上げにかかってた。
差し出したパイ皿には、キレイにフィリングが詰められ、パイ生地を被せられたかぼちゃパイ。

「うん、いいよ。じゃあ焼こうか」

いそいそとオーブンに入れ、焼きあがるまでに片づけをして二人で一休み。ソファで並んで座って、テレビを見てたらパイの焼きあがった音がした。

キッチンに行くと、かぼちゃパイは美味しそうに焼きあがってた。大成功だ。

「ねね、和ちん!早く、早く食べよう!」

一夜がパイを持つ俺を押し、リビングへと急かす。一夜は、お皿とフォークと包丁をいそいそと用意した。

「そんなに食べたかったのか?」

なんだかおやつを急かす子供みたいでかわいい。くすりと笑って一夜に言うと、一夜は目を泳がせた。なんだか怪しいなあ。

「か、和ちん!俺がより分けたげるね!」

一夜が包丁でパイを切り、俺の皿に乗せる。そして、俺が食べるのを今か今かと待ちかまえてる。

「お前自分のは?」
「あっ、うん、食べる!食べるよ!」


一夜の皿に何も乗っていないのを指摘すると、慌ててパイを乗せた。
ますます怪しい!お前が食べたかったんじゃないのかよ。

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