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下僕とハロウィン

ピンポーン。



家のインターホンがならされ、執事が応対をしてしばらくしてからやってきた来客を見て僕は自分がカメラを見なかったことを後悔した。



僕の目の前に、ひどく楽しそうににっこにこ笑うバカ二人。
一人はカメラを持ち、もう一人は怪しげな衣装を持っている。僕は二人に冷ややかな視線を投げ、腕を組んで無言で仁王立ちしていた。


「はるのん!今日はハロウィンだよ!」
「てなわけでさあプレゼント!」


畳んであるのではっきりとはわからないけれど、あれはきっとハロウィンの衣装だろう。こいつらめ…!夏祭りの時も女物の浴衣なんて持って来やがったし、絶対ろくなもんじゃないはずだ!

「貸して」
「え?あ、はい…。はるのん?」

だが、舐めるなよ。いつまでもやられっぱなしは性に合わない。

いつもは『ふざけるな!』と一蹴する僕が自ら七元の持つ衣装を手にすると、二人は驚いて目を瞬かせた。僕はぽかんとしておずおずと僕に声をかける二人を無視して自室に入り、カギを掛けてベッドに取り上げた衣装を広げる。

なるほどね。

ふん、と鼻で笑うと着ている服を脱ぎ捨てて、ベッドの上にある衣装を手に取った。


10分ほどして、僕は扉前にいるであろう二人に部屋に入るように呼びかけた。

「おっじゃまっしま〜す…!?」
「ええと、はる…っ!?」
入ってきた二人が、一瞬にして固まる。
そんな二人に、僕はベッドの上からわざと妖艶に微笑みかけた。

二人の用意してきた衣装。それは、小悪魔だった。悪魔の角のカチューシャに、悪魔の羽根。黒のエナメルの超短いショートパンツに、上の服はなんと黒の網だけでできたタンクトップ。ご丁寧にショートパンツには悪魔のしっぽまでついてある。そして、黒の網タイ(ニーハイ)だ。

僕はその際どい衣装を身に付け、ベッドの上で座り緩く足をM字に開脚して二人を呼びつけてやったのだ。


固まったまま動かない二人に、僕は上目遣いでふふ、と微笑む。

「…どうしたの?写真、撮らないの?ああ、そうか。二人はこういうポーズをしてほしいんだっけ…?」

僕は足をぺたんとベッドにくずし、右手でわざと網シャツの裾をちらりと捲りおなかを見せ、左手の中指を口に入れてちゅぱ、と舐めてやった。


「「う、うわあああああ――――――!!!!」」


そこまでして、ようやく覚醒した二人が真っ赤になって部屋から転がるように飛び出して逃げていった。

ざまあみろ。

いつも僕が恥ずかしがってムキになると思ったら大間違いなんだからね!


でも、あんな二人は初めて見た。もしかしたら通用しないかも、なんて思ってたのに。一応健全(?)なオトコノコだったみたい。
意外に初なんだな、なんて真っ赤になって逃げていった二人を思い出してちょっとかわいかったかも、なんて思った。


あー、おもしろかった。

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